いくら口でもっともらしく言おうが、ペーパーで示し、ペーパーに語らせなくては話にならない。政治を動かす、国会を動かすには、核心を突いたペーパーがどうしても必要となるのだ。
官界においては、業界実態調査という名目で、対象事項を定義、分類、数値化、統計処理したうえで分析する手法が広く使われている。民間企業は、中央省庁の求めに応じ、調査票みたいな実態調査に回答する立場である。
役所仕事を馬鹿にする風潮がある中で、中央省庁の官僚が、この種の仕事のやり方、この種のセンスに秀でていることは、あまり知られていない。
さて、30年くらい前になるが、中央省庁の官僚が手書きで書いた、アンケート調査のような実態調査目的みたいな仕事を専門に担当したことがある。その類の仕事がみんな自分のところに廻ってきたからである。
目的は、法規制強化のための裏付け資料とするためだった。この時代、法規制は、なんでもかんでも杓子定規にがんじがらめにするのではなく、この範囲までは規制するが範囲外のものは規制対象外と線引きする傾向があり、対象事項の定義、分類、数値化、統計処理する前提で調査票様式が設計された。
その種の、業界全体に対する、アンケート調査と称する実態調査を、業界団体窓口を通じて中央官庁は繰り返し行った。
この中央省庁の官僚が得意とする手法が、ある政治活動分野に転用できると私は見ている。
前置きはこれくらいにして本題に入ろう。
ここ数年、●●特権なる言葉を何度も耳にした。
彼らは、口々に言う。多方面に●●特権が存在すると!
しかしながら、残念なことであるが、中央省庁に公式に認知させる文書レベルで、一部でもまとめ、提言レベルに仕立て直したのは、地方議員の小坪しんやくらいしかいない。
以下は、その一例である。
民主党政権下で大幅に引下げられた外国人の国保加入要件を元に戻すため、関連する省令・通達等の廃止を求める陳情
http://samurai20.jp/kokusei/seisaku/chinjou/chi-kokuho1/
かくいう私も一人でできることをこうして書き、提言、時には陳情もする。
しかし、如何せん一人だ。1人工でしかない。
同じ思いの人が100人いて、それぞれが分担を約束、実行できれば、100人工となる。
仮に同じ思いの人が1万人いたとしよう。1万人もいれば、分担すれば、全国調査は実現するのだ。
経験則的に、こういう手順をイメージしている。
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・まず、用語の定義。続いて、●●特権というテーマで扱う範囲を設定、分類については大分類、中分類は必須。必要な場合、小分類を設定する。
・次に、テーマ別に実態を知る人に対し、エビデンス付の情報提供を呼びかける。
自民党の都道府県連が日教組の違法行為について情報提供を呼びかけているのをイメージする。1万人もいれば、10人くらいは、特定の範囲・分野において、何が実態として起きているかくらいはわかるはずだ。仮に、実態を知る10人が、どのテーマでもいい、詳細レポートを書いてくれれば、その詳細レポートを参考に、中央省庁がやるような全国実態調査のためのアンケート調査票の様式検討に入れる。
・アンケート調査票の様式は、数値化、統計処理しやすいことを考慮することになる。(ここが最も重要なポイントとなる。)
・アンケート調査票が決定した後、協力者が1万人いたとして、1万人の中から全国調査のために必要なサンプル数(調査対象地域、自治体など)を決め、調査対象者を選び、アンケート調査票を発送する。(調査対象者が必要数確保できなければ調査にならない。)
・発送後は、調査企画者は、調査対象者からの問い合わせに対応するのは当然だ。
・集まってきた調査票は、数値化、統計処理され、分析を経て集約されることになる。
・結果としてわかること、それは、ある特権が、特定の地域ないし特定の自治体だけで起きているのか、全国規模なのか、整理されることになる。
・最終的には、その特権を甘受しているであろう階層の素性、該当者数を(推定で)割り出すことになる。
・この状態で初めて、法的根拠の有無の調査・確認、すなわち●●特権実態に係わる中央省庁への問い合わせが可能となる。
・ここまで文書として揃った状態で、中央省庁等に業務処理実態を勘案し、法改正等を含めた陳情書作成作業に移行する。
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同志が1万人いた場合の組織を想定、調査企画、情報提供、調査対象者確保、統計、集約、陳情書作成等々、分業前提で、作業手順を書かせていただいた。
さて、国際政治においては、トランプ大統領の就任を織り込みつつあり、トランプ大統領が対日政策上吹っ掛けてくるであろう、国会審議スケジュールを無視するような安全保障上の無理難題が続出することを予見すると、批判文しか書かない・書けない言論人は無用とのスタンスを私はとっている。
その論理は、同じことを同じように繰り返し問題提起してきた政治活動についても当てはまる。
いつまでも、調べもせず、実態を把握せず、問題だー問題だーでは、事態は一向に改善されない、と考えるのである。
最後に、繰り返しとなるが、過去の経験を振り返り、
取扱う事項についてまずきちんと情報収集し、
そのうえで対象事項を詳細定義、分類、全国調査を意識した調査票を作成、発送・集約後、数値化、統計処理したうえで分析するという、官界ビジネスの手法は、
●●特権の実態把握にとどまらず、その解消に向けて有効な筋道となるであろうことを指摘し、本稿を終える。
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