16の歴史学会は自ら「権威」を捨てた

あるニュースを読み、歴史学会が、自ら自爆、権威を捨てたことを確信した。


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http://japan.hani.co.kr/arti/international/20775.html

日本の16の歴史団体の声明...「動員女性の性奴隷状態」を強調
「法的責任の否認する」安倍政権を真っ向批判...「過去の歴史直視すべき」

 日本の歴史学関連16の学術団体が、数多くの慰安婦の女性たちが「自分の意思に反して」動員されたことを「強制連行」として理解しなければならないと強調している共同声明を発表した。これは、慰安婦動員の過程の「強制性」と「強制連行」を区別し、日本政府の法的責任を否定しようとする安倍政権の動きに対し、真っ向から反論したものである

歴史学研究会、日本歴史学協会など、日本の16の歴史学関連団体は25日午後、東京衆議院第2議員会館で記者会見を開き、「(慰安婦の)強制連行は、たんに強引に連れ去る事例に限定されるべきではなく、本人の意思に反した連行の事例をも含むものと理解されるべきである」

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次に、ある歴史書の記述を参照したい。

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昭和天皇と戦争 皇室の伝統と戦時下の政治・軍事戦略 
ピーター・ウエッツラー 森山尚美訳

日本語版のための序文

歴史家にできることは何だろうか。ジュリアス・シーザーの優れた伝記を書いたルチアーノ・カンフォーラが、その序文で述べている。「歴史上の人物が実際にどうであったか。それ以上にどうありたいと望んでいたか、何よりも、その人自身が自分をどういう人物として想定していたかを書くことが、いかに魅力的であり、同時に大それたことであるか、明らかである」

途中略

しかし、歴史を書くことを、人を裁く行為と混同してはならない。歴史家の仕事は、「歴史上の人物が実際にどうであったか、それ以上にどうありたいと望んでいたか、何よりもその人自身が自分をどういう人物として想定していたか」をつきとめようとすることであり、検察官や判事の役割をすることではない。一方、いかなる歴史家も、人間であるから、絶対的に客観的な歴史を書くことは不可能である。本書は、昭和天皇の行動と思想を、私個人の価値判断を加えずに解明しようとした精いっぱいの試みである。もちろん、それ以上のことはできようもない。

404頁

「昨日の眼をもって昨日をみること、それが歴史家の本当の仕事である」と、英国海軍史で名高い歴史家アーサー・マーダーは、しばしば学生たちに語ったという。「過去の人物が知り得なかったことを、いま自分が知っているからといって、その人を批判するのはフェアではない」(Arher Jacob Marder Old Friends, New Enemies, Oxford University Press, 1981.序文より)。

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これを再編集するとこうなる。

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・歴史家の職業的役割
歴史を書くことは人を裁くことではない。また、検察官や判事の役割をすることではない。

・歴史家に求められる視点
昨日の眼をもって昨日をみて分析すること

・歴史家がすべき分析
私的価値判断を加えずに解明すること

・歴史家の著作に求められること
歴史上の人物が実際にどうであったか。それ以上にどうありたいと望んでいたか、何よりも、その人自身が自分をどういう人物として想定していたかを書くこと

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これを、一般論に置き換えるとこうなる。

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・歴史家の職業的役割⇒政治に係わらず、与えられた学問的領域を逸脱しない
歴史を書くことは人を裁くことではない。また、検察官や判事の役割をすることではない。

・歴史家に求められる視点⇒今日の(政治的)視点での評価をしない
昨日の眼をもって昨日をみて分析すること

・歴史家がすべき分析⇒私的解釈厳禁
私的価値判断を加えずに解明すること

・歴史家の著作に求められること⇒拡大解釈禁止
歴史上の人物が実際にどうであったか。それ以上にどうありたいと望んでいたか、何よりも、その人自身が自分をどういう人物として想定していたかを書くこと

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では、冒頭で紹介した記事はどういう評価となるであろうか?

●政治に係わり、(歴史家がしてはならない)与えられた学問的領域を逸脱した
歴史学研究会、日本歴史学協会など、日本の16の歴史学関連団体は25日午後、東京衆議院第2議員会館で記者会見を開いた。

●昨日の眼を捨て、(歴史家がしてはならない)今日の政治的状況の視点で評価した
日本の歴史学関連16の学術団体が、数多くの慰安婦の女性たちが「自分の意思に反して」動員されたことを「強制連行」として理解しなければならないと強調している共同声明を発表した。

●慰安婦問題について、(歴史家がしてはならない)私的価値判断を持ち込んだ
日本の16の歴史団体の声明...「動員女性の性奴隷状態」を強調
「法的責任の否認する」安倍政権を真っ向批判...「過去の歴史直視すべき」

●慰安婦問題について、(歴史家がしてはならない)拡大解釈を行った
(慰安婦の)強制連行は、たんに強引に連れ去る事例に限定されるべきではなく、本人の意思に反した連行の事例をも含むものと理解されるべきである


各タイトルと「上記記事の関連づけ」については、種々意見はあると思うが、私的価値判断ではフィットしているように思う。


さて、冒頭で紹介した記事を報道した国内マスコミは限定的である。

このサイトによれば、報道あったマスコミは、NHKと北海道と朝日だとしている。

―― 参考情報 ――――――――――

歴史学16団体が声明の胡散臭さ 
http://netuzou.seesaa.net/article/419724688.html

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なぜ、各紙横並べで報道しなかったのか?

私の推定となるが、

各紙横並べで報道するとすべての歴史学会の実態が知られ、大騒動となる事態が予見されたこと
学会権威が消失することで、文系学者リストラ大賛成論に拍車がかかるきっかけとなること

を各紙の政治記者が危惧した結果ではないか?とみるのである。

要するに、政治記者からみても、こんな恥ずかしい行為を報道できず、報道自粛してしまったのではないかと推定するのである。

しかし、16もの歴史学会は、声明を事もあろうに衆議院議員会館にて発表してしまった。
自ら自爆し、権威を放棄したも同然である。

財務省、文科省関係者におかれては、本稿を根拠に、全国津々浦々の文系学部ならびに歴史学者の大量リストラを進めることをお願いしたい。

最後に、歴史学者、研究者を名乗る方には、本稿で紹介したネタを参考に、学問的姿勢を糺されんことを推奨する。
これら学会に登録する歴史学者たちは、「歴史研究と称する作業を私的価値判断で行う集団」に過ぎないのかもしれないのである。

以上

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