トランプ大統領は、対北朝鮮制裁において、中共による北朝鮮禁輸措置強化、2プラス2での日本の自衛隊の役割強化、中共へのスーパー301条適用など、一歩踏み込んだ対応を進めている。
8月18日の読売朝刊では、2プラス2で協議された事項について、仔細な解説が読める。小野寺防衛大臣の満足そうな表情の顔写真、河野太郎外務大臣が普段見せたことがないレベルの真剣な表情を新聞紙面で確認し、ほっとしている保守層は多いと思う。(石破茂が防衛大臣、外務大臣でなくて本当に良かった!)
トランプ大統領は、外交的に無知だと思っていたが、国防措置上は手堅いとみていいようだ。
上記以外に、日本政府がすべき次の一手は何か、という視点で考えてみたい。
まず、思い浮かぶのは自衛隊の役割強化に伴い、武力行使を容認するのであるから、憲法改正を急ぐべきとの主張である。
安倍首相は憲法改正方針を表明した。手順的には、実現しそうな雲意気にある。例によってマスコミは中共工作員を総動員しているようであるが、民進党が解体しそうな党勢にあり、小池百合子が民進党の改憲勢力の受け皿となりつつある。
軍事面ではどうか?
「サルでもわかる 日本核武装論」(田母神俊雄)は、尖閣・南西諸島方面の軍事力充実の必要性について述べている。
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58~66頁
南西諸島の護りは喫緊の国民的課題
さて、我が国を自縄自縛していた諸懸案を解消すると同時に、核とは別に日本が早急に対処しなければならない問題が存在します。
それは、南西地域の護りをどうするか、ということです。ここは、東京から北朝鮮の、東北地方すべてと同じくらいの広さgあります。そして北の対馬から、台湾から一〇〇キロの南西端・与那国島までの間に、二千数百の島が存在します。中国との間に何かといざこざが絶えない尖閣諸島もここに含まれますが、日本は中国を刺激するからと、本格的な自衛隊の配備はしておりません。一応、海上保安庁の艦船が常時一隻、尖閣諸島の監視にあたっていますが、海上保安庁は国土交通省の外局であり、海上の安全の確保を任務とする行政組織ですから、領海侵犯されても警告するだけで、当然、軍事的な行動は取れません。私は、こうした状況は、非常に危ういと危惧しています。
中国の領土拡大の野心を侮ってはいけません。
九二年、アメリカ軍が、フイリピンのクラーク、スービックの両基地から撤収するやいなや、中国は南沙諸島、西沙諸侯の岩礁を占拠し、領有を宣言、厖大なコンクリートで航空機発着基地まで作ってしまいました。
昨年一二月には、中国の調査船が二隻、尖閣諸島周辺に九時間半にわたって居座りましたが、これも領土的野心の表れです。麻生首相が一応「遺憾である」
と抗議しましたが、温家宝首相に「中国の領土だ」と言い返され、「良好な二国間関係に影響を与えないようにしたい」と言って終わりです。
こうした態度は、中国の領土的野心を増長させ領海侵犯等の紛争を誘発するだけです。九時間半大丈夫だったから、次は三日くらいやってみようか、三日大丈夫だったら永久に、となるのです。
実際中国は、九二年、領海法を制定して、一方的に、尖閣諸島と西沙・南沙諸島は中国の領土だと宣言しました。北方領土や竹島がいい例ですが、一度奪われた領土は、戦争でもしない限り、なかなか戻ってこないのです。
私は、国際的に相互依存が進んでいる現在、中国が直接東京を攻撃することは、きわめて確率が低いと考えています。
それより、尖閣とか対馬とか奄美大島といった小さな島に、何らかの政治的目的を持って密かに上陸するような可能性の方がはるかに高い。関東の北、東北地方くらいの広さのところに、なにしろ二千数はy九の島があるのですから、それが無人島だったりすれば、日本が気付かない間に上陸されてしまう事態だって想定されます。
そうした場合、いまの自衛隊の体制だと全く対処しようがないわけです。
中国の野心を封じる南西諸島の自衛隊基地建設
南西諸島に中国軍がちょっかいを出してきた場合、陸上自衛隊が占領された島に逆上陸して敵を追い出す作戦を採らなければなりませんが、そのためには制空権、領海権を確保する必要があります。しかし、沖縄本島の基地からでは、あまりにも遠く、優位を保つのはかなりむずかしい。
たとえば自衛隊の主力戦闘機F15の場合、普通の旅客機のような飛び方だと東京からグアムあたりまで行けますが、作戦行動を始めると、一時間分の燃料を五分くらいで使い切ってします。当然、戦闘機がマニューバ(作戦行動)しだすと、三〇〇マイルも移動した先での戦闘となりますから、空中給油機が必要です。
そうした諸条件を考えると、石垣島とか与那国島、あるいは伊良部島の南にある下地島あたりに、陸・海・空の統合的な運用のできる基地を置く必要があると思います。
とくに下地島には、かつて日本航空や全日空のパイロットが訓練用に使用していた三〇〇〇メートルの滑走路を持つ空港があり、もともと二○年前から航空自衛隊が使用するとしていた場所ですから好都合です。
七月七日、政府は次期中期防衛計画に、”陸自六〇名ほどを与那国島に配置する方針を盛り込むと決定した”という一部報道がありましたが、選挙の結果、民主党が政権を取ったらどうなるか分かりません。いずれにせよ、ここに陸・海・空の自衛隊がいて、周辺の海峡をつねに護衛艦が敬語し、空からはP3Cがちゃんと見ている。陸上自衛隊も、隠密裡に行動できる特殊上陸部隊を編制し、部隊を移動させ支援する艦船を持つ必要があります。尖閣諸島に少数の舞台を駐屯させるのも有効です。尖閣には真水の出るし、戦前には一〇〇人以上の民間人が生活していたこともある島ですから、決して無理な話ではありません。
また、いま、沖縄本島の米海兵隊一万六〇〇〇人のうち、八〇〇〇人ほどをグアムに移転させる話が進んでいます。
これは米軍の中東方面を睨んだ再編によるものですが、米軍が引いた分は自衛隊を増強させなければ、中国に間違ったメッセージを送ってしまいます。米軍が引いて基地が小さくなったから、良かった良かったというのは、軍事アレルギー以外の何ものでもありません。
日本が自立した国家になっていこうとするなら、米軍が引いた分を、日本が独自に担っていくという形をとらないといけない。脅威が増大している現在、基地縮小とか米軍再編問題というのは、そのようにとらえないといけないのです。
こうしたことは、日本の主権がおよぶ領土内での自衛隊配備の変更あるいは自衛隊の増強ですから、どこからも文句を言われる筋合いはないのです。にもかかわらず、「中国を刺激するから」と事なかれ主義できたのが日本政府です。
中国は核軍拡から海洋軍拡へ進む
中国は七〇年、初の人工衛星「東方紅」を成功させ、〇三年には、有人宇宙船「神舟」を成功させました。この有人宇宙船「神舟」の二回目の打ち上げに成功した時(〇五年一二月)、細田博之官房長官(当時)は「心からお祝い申し上げる」というコメントを発表しました。
実におめでたい感覚です。人工衛星や有人宇宙船の成功というのは、核ミサイルの誘導技術、運搬技術の向上を意味するからです。実際、この時アメリカ政府は、中国の「大陸間弾道ミサイルの性能向上」と「核拡散拍車の可能性」に懸念を表明していたのです。
中国は、アメリkと旧ソ連しか持っていなかった多弾頭ミサイルを九〇年代半ばにほぼ完成させていたのですから尚更です。
多弾頭ミサイルというのは、一発のミサイルから核弾頭が複数発射されるもので、一発はニューヨークに、もう一発はワシントンDCにと、複数の都市を狙うことができる、たいへん攻撃力の高いミサイルです。
こうやって、核とミサイルの充実を謀ってきた中国が、次の軍拡のターゲットにしたのが海洋への進出です。
世界地図を少しじっくり眺めると、中国が日本列島と、沖縄、南西諸島、台湾でスッポリ蓋をされているようになっているのに気付かれるでしょう。軍事的にはこれを「第一列島線」と呼びます。そして、横須賀、小笠原諸島、グアム島を結ぶ線を「第二列島線」と呼びます。
中国が、太平洋をアメリカと二分して、西太平洋の覇権国家となるには、この二つの列島線を自在に往き来できるようにならないといけません。
とくに、台湾を武力にせよ平和的手段にせよ、併合(台湾に親大陸の政権ができたので、現在はその動きを抑制していますが)する際に、米艦隊との直接対峙を想定すると、日本の南西諸島地域は中国にとって地政学的に決定的に重要な場所となります。
したがって私は、中国はいずれ何らかの形で、南西諸島に直接ちょっかいを出してくるのは間違いない、と分析しています。
現実を直視し、自立した自衛観を
実際、中国海軍の拡大は急ピッチです、とくに潜水艦はすでに六二隻、そのうち九隻は原子力潜水艦で、数隻には核ミサイルを搭載していると考えられます。
また、二○二○年までに原子力空母を二隻建造するとしています。旧ソ連から購入した旧式空母を加えると、合計四隻となる体制です。空母を作るということは、当然護衛艦も一緒に作るということで、空母に積む戦闘機も増強するということです。
先の、米国防総省報告によれば「パイロット数十人が、空母艦載機の操縦訓練を始めた」ともあります。
最近、中国海軍は、香港の西南にある海南島の南端に、非常に強固な基地を建設しました。三亜という港ですが、ここには航空母艦も入港できるし、原子力潜水艦等一〇隻以上が停泊できるそうです。しかも潜水艦の基地は、知かトンネル式になっているようで、外から見られることなく出入りできます。これに加え、西沙、南沙諸島を、自国の領土と宣言し、飛行機の離発着基地まで建設しているのですから、日本のシーレーンでもある南シナ海は、いまや中国の裏庭状態と化しているのです。
こう見てくると、自衛隊の南西諸島地域への展開が急がれる理由が理解できると思います。
尖閣諸島問題というのは単なる資源争奪だけの問題ではありません。すぐれた軍事問題なのです。そして軍事的平和は、唯一、対峙する二国の軍事バランスの上に成立します。逆に言えば、腰の引けた対応が、戦争を誘発するのです。入り口できちっと対応しておけば、戦争にはならないということです。
日本の政治家は、「中国が文句を言うことはしない」「目の前で緊張状態になることは絶対避ける」という日和見主義から、そろそろ本気で訣別しないと、未来は実に暗いものになります。
九三年、中国の李鵬首相(当時)は、訪中したオーストラリアのP・キーティング首相(当時)に「日本などという国はあと三〇年も経てばなくなっている」と豪語したそうですが、そうならないためにも、いま、核も含めた議論を活発にし、軍事力の充実を真剣に考えておかなければならないのです。
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2009年に刊行されたこの本から何度もいろんか箇所を引用させていただいているが、どれも現実的かつ現在の状況に当てはまる。
田母神が長期拘留されていた間、保守系言論人はどこで何をしていたか?疑いたくなる。
原稿料や出演料が貰えることが確定して、初めて主張、提言するのであれば、存在価値があると言えるのか?
田母神俊雄は、中国の軍事的脅威を受け止め、有効な打開策を提言してきた。
同時に、田母神俊雄は、この本で、日本、台湾、韓国が一枚岩になるべきだとしている。
―― 参考情報 ――――――――――
日本の安全保障 田母神俊雄のシナリオ通り進んでいる?
http://sokokuwanihon.blog.fc2.com/blog-entry-575.html
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ここでいう一枚岩とは、国家間の結びつき、同盟関係において、という意味であろうと私は理解する。
日台関係、日韓関係、区別して考えたい。韓国は国家としてであるが、台湾については中共への配慮等が先行し、国家レベルの扱いとなっていない。
日台韓が一枚岩になるのに際し、韓国は除外すべきだという議論はあるだろう。アメリカが朝鮮半島問題で手を焼いているのは、韓国政府のコウモリ外交癖に起因することは言うまでもない。
ならば、韓国との関係は多少疎遠か現状レベルのまま、日台関係をどうするか、日本政府として考えるべきときに来ている。
ここで、一つのタイムリーな提言が存在することをお知らせしたい。
―― 参考情報 ――――――――――
中国ガン・台湾人医師の処方箋
http://nihonshitanbou.blog.fc2.com/blog-entry-376.html
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「中国ガン・台湾人医師の処方箋」(林 建良著)の解説である。
以下は、要約である。
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・中国ガンを退治しなければ、真っ先に飲み込まれるのは日本と台湾である。
・中国人の深い怨念を考えると、台湾よりも日本の方が深刻になりそうだ。
・日本が本気に中国ガンを退治しようとするなら、台湾と連携しなければならない。
・中国は台湾を「核心的利益」としている限り、台湾は中国ガンの核心に挿し込む鋭い刃物となる。(中国人が台湾を中国の一部だと思っているからこそ、台湾はどの国よりも中国人に影響力を持っている。中国が台湾を中国の一部であることを宣伝すればするほど、台湾の影響力も強まる。影響力の増す台湾が本気に中国の民主化運動に火をつければ、中国は分裂させられる可能性が大きい。だから台湾は中国の核心的利益というよりは核爆弾と言ったほうがよさそうだ。)
・3.11大震災で台湾人が日本に対する無私な行動はそのまま、台湾人の日本に対する情の深さと考えてよい。日本人は忘れているが、台湾は日本の宝のような隣国なのだ。日本政府が台湾と政府間関係を持ち、一緒に中国問題を対処していこうという姿勢があれば、台湾の持っている力も存分に発揮できるのであろう。
・日本が台湾と政府関係を持つには、まだ道は遠いかに見える。この関係に関する目途はついておらず、現在は大きな空白状態だ。これが日本にとって大きなマイナスであることは間違いない。そこでこの問題を解決するには、台湾関係法が必要だ。アメリカはそれがあるから、中国の邪魔を撥ね退けられ、台湾との政府間交流ができる。
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台湾との外交関係強化について、安倍政権よりもトランプ政権の方が熱心なように見えるが、安倍首相は、習近平を怒らせない程度にジワジワ対中共包囲網を形成しつつある。
台湾の潜在的パワーを引き出すには、日台政府間関係を強化すべきであることは確かだ。
が、私はこうも見ている。
一つの中国路線を日本政府が認めている状況で、中共から見て、日本があからさまに日台関係強化に乗り出すことは、中共による軍事攻撃を予見したか秒読み段階にあるシグナルと見なせる可能性はないか?
今は、秒読み段階ではなさそうだが、日台の政府間関係強化に向けて、議員外交、与党外交など、呼び水となりえる交流チャンネル拡大を急ぐべきと考える。
以上
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