なぜ緊急事態宣言が予想より後にずれ込んだのか?

本稿は、急を要するはずの、緊急事態宣言が、ネットで噂されていたよりも一週間後になったことについて、要因分析を試みるもの。

―― 参考情報 ――――――――――

首相、緊急事態宣言準備を伝達 7都府県に1カ月程度、7日にも発令 自民役員会で
https://www.sankei.com/politics/news/200406/plt2004060011-n1.html

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一週間前の緊急事態宣言だったら、ひょっとすると7都府県から減ったか、あるいは別の要因が働いた可能性がある。

産経阿比留記者は、医療ひっ迫を睨み、本日の宣言となったと分析している。

―― 参考情報 ――――――――――

医療逼迫にらみ 緊急事態宣言決断した首相 阿比留瑠比
https://special.sankei.com/a/politics/article/20200406/0001.html

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見方を変えたい。今回緊急事態宣言対象の7都府県とは、東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫、福岡。

中央省庁からみて、言わなくてもやれる都道府県、言って初めて理解する都道府県、言ってもなかなか直らない都道府県があるような気がする。

これは、許認可する側からみれば、日常茶飯事で起きていること。これら都道府県の中に中央省庁からみて、事務処理的にとろくさい都道府県、あるいは駆け込みで緊急事態宣言が必要と都道府県が含まれていたらどうなるか?


さらに、事務処理的、言い換えると、予算算定・申請上、やっかいな事項が存在する。


―― 参考情報 ――――――――――

新型インフルエンザ等対策特別措置法
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=424AC0000000031

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何が問題か?

損害補償事項の特定、費用支弁、自治体負担額(国の負担)など、予算算定・申請上やっかいな事項がある。

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https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=424AC0000000031#368

(損害補償)
第六十三条 都道府県は、第三十一条第一項の規定による要請に応じ、又は同条第三項の規定による指示に従って患者等に対する医療の提供を行う医療関係者が、そのため死亡し、負傷し、若しくは疾病にかかり、又は障害の状態となったときは、政令で定めるところにより、その者又はその者の遺族若しくは被扶養者がこれらの原因によって受ける損害を補償しなければならない。
2 前項の規定の実施に関し必要な手続は、政令で定める。

(医薬品等の譲渡等の特例)
第六十四条 厚生労働大臣は、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、新型インフルエンザ等対策の実施に必要な医薬品その他の物資を無償又は時価よりも低い対価で譲渡し、貸し付け、又は使用させることができる。

(新型インフルエンザ等緊急事態措置等に要する費用の支弁)
第六十五条 法令に特別の定めがある場合を除き、新型インフルエンザ等緊急事態措置その他この法律の規定に基づいて実施する措置に要する費用は、その実施について責任を有する者が支弁する。
(特定都道府県知事が特定市町村長の措置を代行した場合の費用の支弁)
第六十六条 第三十八条第二項の規定により特定都道府県知事が特定市町村の新型インフルエンザ等緊急事態措置を代行した場合において、当該特定市町村がその全部又は大部分の事務を行うことができなくなる前に当該特定市町村の長が実施した新型インフルエンザ等緊急事態措置のために通常要する費用で、当該特定市町村に支弁させることが困難であると認められるものについては、当該特定市町村の属する特定都道府県が支弁する。

(他の地方公共団体の長等の応援に要する費用の支弁)
第六十七条 第三十九条第一項若しくは第二項又は第四十条の規定により他の地方公共団体の長等の応援を受けた特定都道府県知事等の属する特定都道府県又は当該応援を受けた特定市町村長等の属する特定市町村は、当該応援に要した費用を支弁しなければならない。
2 前項の場合において、当該応援を受けた特定都道府県知事等の属する特定都道府県又は当該応援を受けた特定市町村長等の属する特定市町村が当該費用を支弁するいとまがないときは、当該特定都道府県又は当該特定市町村は、当該応援をする他の地方公共団体の長等が属する地方公共団体に対し、当該費用を一時的に立て替えて支弁するよう求めることができる。

(特定市町村長が特定都道府県知事の措置の実施に関する事務の一部を行う場合の費用の支弁)
第六十八条 特定都道府県は、特定都道府県知事が第四十八条第二項又は第五十六条第三項の規定によりその権限に属する措置の実施に関する事務の一部を特定市町村長が行うこととしたときは、当該特定市町村長による当該措置の実施に要する費用を支弁しなければならない。
2 特定都道府県知事は、第四十八条第二項若しくは第五十六条第三項の規定によりその権限に属する措置の実施に関する事務の一部を特定市町村長が行うこととしたとき、又は特定都道府県が当該措置の実施に要する費用を支弁するいとまがないときは、特定市町村に当該措置の実施に要する費用を一時的に立て替えて支弁させることができる。

(国等の負担)
第六十九条 国は、第六十五条の規定により都道府県が支弁する第四十八条第一項、第五十六条第二項、第六十二条第一項及び第二項並びに第六十三条第一項に規定する措置に要する費用に対して、政令で定めるところにより、次の各号に掲げる場合に応じ、それぞれ当該各号に定める額を負担する。
一 当該費用の総額が、第十五条第一項の規定により政府対策本部が設置された年の四月一日の属する会計年度(次号において「当該年度」という。)における当該都道府県の標準税収入(公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和二十六年法律第九十七号)第二条第四項に規定する標準税収入をいう。次号において同じ。)の百分の二に相当する額以下の場合 当該費用の総額の百分の五十に相当する額
二 当該費用の総額が当該年度における当該都道府県の標準税収入の百分の二に相当する額を超える場合 イからハまでに掲げる額の合計額
イ 当該費用の総額のうち当該年度における当該都道府県の標準税収入の百分の二の部分の額の百分の五十に相当する額
ロ 当該費用の総額のうち当該年度における当該都道府県の標準税収入の百分の二を超え、百分の四以下の部分の額の百分の八十に相当する額
ハ 当該費用の総額のうち当該年度における当該都道府県の標準税収入の百分の四を超える部分の額の百分の九十に相当する額
2 前項の規定は、第四十六条第三項の規定により読み替えて適用する予防接種法第二十五条の規定により市町村が支弁する同項の規定により読み替えて適用する同法第六条第一項の規定による予防接種を行うために要する費用及び当該予防接種に係る同法第十五条第一項の規定による給付に要する費用について準用する。この場合において、前項中「当該都道府県」とあるのは「当該市町村」と、「百分の二」とあるのは「百分の一」と、同項第二号中「百分の四」とあるのは「百分の二」と読み替えるものとする。
3 都道府県は、第四十六条第三項の規定により読み替えて適用する予防接種法第二十五条の規定により市町村が支弁する費用の額から前項において読み替えて準用する第一項の規定により国が負担する額を控除した額に二分の一を乗じて得た額を負担する。

(新型インフルエンザ等緊急事態に対処するための国の財政上の措置)
第七十条 国は、前条に定めるもののほか、予防接種の実施その他新型インフルエンザ等緊急事態に対処するために地方公共団体が支弁する費用に対し、必要な財政上の措置を講ずるものとする。

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ちなみに、休業補償対象業種はこんなにある。

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【非常事態宣言】東京都「ホームセンター、モールにも休業要請。コンビニ、ホテル、銭湯、飲食店(居酒屋除く)は生活に必須」
http://fxya.blog129.fc2.com/blog-entry-60826.html

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https://hosyusokuhou.jp/archives/48875709.html

すでに東京都からは深夜営業の飲食店に対して営業自粛ともいえる要請が出ていたが、今回の緊急事態宣言により、さらに休止要請の範囲が広がることになるようである。

以下が、現在報じられている休止要請される店や施設などのリストだ。

・休止要請される店などリスト
パチンコ店
ライブハウス
カラオケボックス
ネットカフェ
キャバレー
ナイトクラブ
バー
ボウリング場
ゴルフ練習場
バッティング練習場
スポーツクラブ
劇場
映画館
集会場
展示場
博物館
美術館
図書館
百貨店
マーケット
ショッピングモール
ホームセンター
理髪店
質屋
個室ビデオ店
漫画喫茶
ゲームセンター

||||| ここまで引用 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||

金額が金額なだけに、内訳書なし、根拠なしの算定では、予算算定・申請的にありえない。前例のないことなので、意外に時間を要するはずだ。
事務処理的に手間取ったりしがちな特定の都道府県、駆け込みで緊急事態宣言対象となる都道府県があった場合、当初の予定よりもさらにずれ込む。


加えて、7都道府県横並べでの調整、省庁横断的協議もあるはずだ。


確かに、安倍政権の動きは鈍い、ように見える。しかし、法律に照らし、前例のない規模の予算で、しかるべき内訳書を準備するとしたら、緊急事態宣言発令を思い立って1週間前後で予算内訳書や支出のための手順書含めて準備できるのか、ということなのである。



評論家、言論人たちは、緊急事態発令が遅いことについて、例外なく激怒している。損害補償しない前提なら、北海道のようなやり方はできる。
事態は急を要しているように見える。が、諸外国と比較すれば外出禁止等の措置はない。不要不急の外出自粛(娯楽施設等への出入り)程度で、損害賠償予算算定するゆとりがないかと言えば、実はある。


拙ブログの推定どおりであれば、予算算定・申請に係わる、協議調整に(意外に)時間を要した結果、本日4月7日の緊急事態宣言となったと推定するのである。

安倍政権がこの一週間、のんびりしていると批判される方、上記法律の第63条~70条を稟議書上どう表現するのか?お考えいただきたい。

白紙決裁での予算執行はあり得ない。補正予算16兆8000億円のしかるべき内訳書があって、国は実施決裁したはずなのである。


以上

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