日中首脳電話会談の政治的意味

本稿は、菅政権、前政権の対中外交方針を比較することを狙いとしている。


電話会談についての産経報道が配信された。残念ながら、日本側の対応シナリオが如何なるものだったかについて、言及がない。

―― 参考情報 ――――――――――

宙に浮く「国賓来日」、対中カードに 日中首脳会談
https://www.sankei.com/politics/news/200925/plt2009250053-n1.html

―――――――――――――――――

私はこうみている。

前政権は、アベノミクスが中共輸出、インバウンド依存傾向であることから、トランプ政権ほど中共に対する経済制裁に熱心ではなかった。これは、経済界の意向を尊重した結果である。
また、前政権は、日中に横たわる歴史認識問題の完全解消(戦後レジーム脱却、安倍談話の現実化)など日中両国に横たわる懸案について、経済協力と絡め、包括的に協議することを企図、最終的に日中新時代みたいな構想を想定、1972年の日中共同宣言を上書きする目的で、習近平国賓来日を一旦約束した。
このシナリオを、公明党、二階幹事長は後押し、乗っかったようだ。が、一旦約束した関係で、政権運営的に、次第に身動きが取れなくなった。
ここ最近のトランプ外交を分析すると、この選択は、アメリカからみれば失敗との評価となる。トランプ政権が前政権中枢の親中派の存在を名指しして批判、前首相は進退窮まる事態に直面、、、
そこで、前首相は、外交上の失敗を悟られないために、一旦退陣することを選択、、、というシナリオが見えてくる。

||||| ここから引用開始 |||||||||||||||||||||||||||||||||||

https://sokokuhanihon.seesaa.net/article/477577779.html

前首相が退陣を決意した根拠

■根拠4 習近平国賓来日の話を一旦白紙に戻す

習近平国賓来日話は、前首相が決めたことである。保守層には反対する人が多い。自身が退陣することで、習近平国賓来日話を一旦白紙に戻せるかもしれないと考えた可能性はある。


■根拠5 自ら身を引くことで米中対話窓口消失、中共を政治的に孤立させることを目論んだ

中共にとっては、トランプと懇意でありトランプが絶大な信頼を寄せている前首相の退陣は、対話窓口消失する意味を持つ。中共にとって(米中紛争時の調停的役割としての)命綱を失うに等しい。
中共は梯子を外されたことになる。
尖閣の領海侵犯事案に業を煮やした、前首相は、自身が身を引くことで、中共を政治的に追い詰め、孤立させることを目論んだ、可能性はある。

||||| ここまで引用 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||


電話会談の結果から、菅政権が、前政権での約束を白紙扱いとした?ことは注目される。
前首相の退陣は意味があったことになる。国賓来日事案の白紙化は、前首相からの引継ぎ事項と思うほど。



一方、習近平は「歴史などの重大で敏感な問題を適切に処理し、新時代の要求に合致した中日関係の構築に努めていきたい」と発言したとされる。

―― 参考情報 ――――――――――

習近平氏「歴史問題の適切な処理を」
https://www.sankei.com/world/news/200926/wor2009260001-n1.html

(前)政権が習近平を国賓待遇としたい理由
https://sokokuhanihon.seesaa.net/article/472919638.html

―――――――――――――――――


どういうことか。
習近平は、かく発言することで、前政権の提案どおり語り、新政権を皮肉ったのではないか。


拙ブログの1月時点での推論が、外れていないことを、習近平の発言は裏付けている。
その前提に立ち、前政権が国賓来日の交換条件として望んだことは、以下であろうと推定する。

||||| ここから引用開始 |||||||||||||||||||||||||||||||||||

https://sokokuhanihon.seesaa.net/article/472919638.html

・日中共同宣言を上書きする外交文書(戦後を終わらせる)
・北朝鮮を支援することをやめる(拉致問題解決)
・尖閣について中共に自制させること(自制しない場合は経済制裁?、防衛力強化)
・歴史認識問題の終焉(謀略工作の終焉)
・靖国参拝問題の終焉(謀略工作の終焉)

||||| ここまで引用 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||

要するに、中共として、日本側からの要求はベタ折れするが、国家主席のメンツとして国賓来日は認めて欲しい、そういうやり取りだったのではないか?



ここで、歴史認識問題の終焉がどういう政治的意味を持つのか、分析したい。

「主張せよ、日本」(古森義久)にて、反日活動団体の存在が指摘されている。

―― 参考情報 ――――――――――

世界抗日戦争史実維護連合会
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E7%95%8C%E6%8A%97%E6%97%A5%E6%88%A6%E4%BA%89%E5%8F%B2%E5%AE%9F%E7%B6%AD%E8%AD%B7%E9%80%A3%E5%90%88%E4%BC%9A

中国人民政治協商会議
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E4%BA%BA%E6%B0%91%E6%94%BF%E6%B2%BB%E5%8D%94%E5%95%86%E4%BC%9A%E8%AD%B0

―――――――――――――――――

中共は世界規模で、反日活動を組織化した。主力は華僑、、、同盟国であるはずのアメリカや国連などの国際機関などで反日活動が根強く続くのは、華僑が係わっているとみる。

―― 参考情報 ――――――――――

・中共スパイ網の規模は旧ソ連以上
http://gendaishi.jugem.jp/?eid=1230

―――――――――――――――――

習近平が語る「歴史などの重大で敏感な問題を適切に処理し、新時代の要求に合致した中日関係の構築に努めていきたい」とは、これら世界規模で活動してきた反日組織廃止を意味する。



その交換条件とは何か。

国賓での受け入れの他に、ウイグル問題、チベット問題、武漢ウイルス等の容認、米中貿易戦争に関する中立的立場の継続(場合によってはトランプに対する仲介)とみる。

習近平が主張する、「新時代の要求に合致した日中関係」とは、「日中共同宣言を上書きし、かつ世界規模の反日活動を廃止」する代わりに、ウイグル、チベット、武漢ウイルス、等、現状の容認であろう。


前政権の選択した習近平国賓来日シナリオは、現時点において、「①トランプがあれほど熱心に武漢ウイルスについて国際社会に向けて中共の責任追及を本格化させていること、②アメリカ上院下院ともウイグル強制労働問題の制裁に乗り出していること」などから、日米の外交方針において齟齬が生じていることになる。

―― 参考情報 ――――――――――

「中国に責任を取らせよ」トランプ氏が国連で演説(字幕・23日)
https://jp.reuters.com/video/watch/idOWjpvC15YEI8PYN2BTTTLQOX9BDDMN0

米上院でウイグル人権法案可決 中国の反発必至
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200515/mcb2005151014014-n1.htm

―――――――――――――――――


国賓来日が、昨年末だったら、どうか。交渉の結末は予測できないが、実現くらいはできたかもしれない。
が、両国首脳ともそんな余裕はなかった?
前首相はどうだったか。昨年末の国会審議にて、目玉事案がなく、かつ前首相一人を疲弊させる目的での質疑が続いたことから、前首相の体調悪化(の演技)は、昨年末から始まったようである。


一方、トランプ、アメリカ議会は、中共にて進行中のウイグル族粛正事案等について、(クリントン、オバマ政権時代とは異なり、珍しく)正義の使者の役割を演じ、迅速に処置すべく、支援、救済に乗り出し始めている。

この状況で、日本の保守系議員は習近平来日阻止を主張した。

―― 参考情報 ――――――――――

【保守団結の会】「習近平の国賓来日中止を!」 自民有志が決議 25日に首相官邸に提出
https://hosyusokuhou.jp/archives/48887519.html

―――――――――――――――――

同じ立場なら、私も同様のことをするのであるが、事はそう単純ではない。


日中電話会談にて、国賓来日の話をしなかったことなどから、短期的には菅政権はうまく切り抜けたとみていい。言論人の方々はかく絶賛されている。先陣争いしているのではないかと思うほど。

||||| ここから引用開始 |||||||||||||||||||||||||||||||||||

門田隆将@KadotaRyusho
4時間
菅―習近平会談は「日中首脳間を含め緊密に連携していく」で一致し、終了。注目の習訪日の話は「特にやり取りはなかった」と菅氏。豪、米、独、EU、英、韓、印の順に首脳会談をやり、最後に中国。しかも“来日要請”はしなかった。自民党内の現実派も安堵。この点はさすが絶妙。

石平太郎@liyonyon
5時間
菅首相の就任に対して、習近平が各国首脳脳の中でいち早く祝電を送ってきたのにたいし、菅首相は習近平を五番目の電話会談の相手に回した。そして焦点の国賓訪日の一件も上手く棚上げにしたようだ。どうやら菅外交は腰が据えている。刮目すべきだ。

石平太郎@liyonyon
5時間
習近平との会談はどうなっているのかは未だに分からないが、その前にまず「日印首脳会談」をやったのは流石に菅首相。つまり、対中国の「4カ国連携」をきちんと固めてから、習近平との電話会談に望むのは戦略的にも戦術的にも正しい! 良い展開である。  https://sankei.com/politics/news/200925/plt2009250037-n1.html
@Sankei_newsより

石平太郎@liyonyon
5時間
ただいま、菅首相からの発表かあった。習近平との電話会談では、国賓訪日についてやり取りがなかった、と。これでひとまず、安心しました。菅首相、よくやった!

||||| ここまで引用 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||


長期的視点に立つとどうか。
前政権が目論んだ、日中新時代構想?は、中共が日本に仕掛けた謀略組織廃止など、戦後レジーム脱却、安倍談話を現実化するシナリオに沿っている点で、国益的に妥当と思う。

菅政権は短期的にはうまく立ち回っているように見えるが、長期的視点での処理を先送りにしたに過ぎない面がある。


さらに、現国際政治状況にて、日中首脳会談を強行すると、同盟国であるアメリカの外交方針、ウイグル問題、チベット問題、台湾問題を重ね合わせると、一国の利益(戦後レジーム脱却、尖閣問題の最終処理など)を最優先することは、、、後々、対米外交上問題視される可能性大となる。

短期的には国益的に妥当だが、長期的には解決すべき事案が放置されたままでいいとは思えない。


情勢分析後の判断として、前首相は、自身が描いた日中新時代方針?の前提で日中首脳会談に臨むことは、今後本格化するトランプ対中外交の障害となるばかりでなく自身が対米外交的に窮地に追い込まれると考え、一旦退陣することを選択したと考えられるのである。


以上

この記事へのコメント

人気記事