科学技術立国化するには(官営)学術会議が邪魔?

本稿は、国家ビジョン的視点に立った、あるべき姿に係わる考察。

まず最初に、学術会議会長が、首相と未来志向で話をした件から分析を試みる。

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任命拒否問題よりも「未来志向で首相と話した」 学術会議会長のコメント詳報
https://www.sankei.com/politics/news/201016/plt2010160025-n1.html

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これには二つの意味がある。
一つは、学術会議会長が左翼主義者であることは一旦置いておき、学術会議が大幅にリストラないし民営化された場合などを想定、会長自身が保身目的で、首相からみて話せる人間とみられたいがための(ゴマスリ的)演技であるということである。
もう一つの意味は、余程馬鹿な学者でない限り、理解していることである。


それは何か。


はっきり書くと、日本の学者集団は、いわゆる先進国の学者と論文件数で比較すると圧倒的に少ないとことが挙げられる。

拙ブログは、4年ほど前から、日本学術会議の存在意義について問題視してきた。以下は、4年前の記事である。

―― 参考情報 ――――――――――

国際競争の敗者 学問の自由に安住・政治提言する「日本学術会議」は社会に必要なのか
https://sokokuhanihon.seesaa.net/article/464532590.html

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ショッキングな比較データがある。

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https://blog.goo.ne.jp/toyodang/e/2b1307b461f2ed4d9c5bb8d13e31ae89

いったい日本の論文数の国際ランキングはどこまで下がるのか!!

香港を加えますと、国際順位としては37位、香港を除けば36位となります。 国立大学協会への報告書の総括で、このままの政策が継続されれば、さらに国際競争力が低下する旨を書いたのですが、少なくともこの1年間については、予測が当たったことになりますね。あと何年間予測が当たることになるんでしょうかね?

一人あたり論文件数各国比較.jpg


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国際的にみて、能力的かつ実績的に劣化集団とみられる、学界のトップ集団であるべきはずの学術会議が、防衛研究を否定したり、改憲や安保法制に反対する政治活動に熱心に取り組む意味を考えたい。

彼らの大半は、社会的責務で何であるかを理解せず、私的趣味で?反日活動を続けることを通じて、学界全体を支配してきたということ。



経緯的には、池田信夫の説明がわかりやすい。

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https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/62538?page=2

占領軍が学術会議をつくり共産党が支配した

占領軍が学術会議をつくり共産党が支配した
 学術会議が設立された1949年は、日本がまだ占領統治のもとにあった時代で、その制度設計には占領軍が深くかかわっていた。憲法で日本を武装解除する一方、軍需産業は解体し、二度と軍事技術をもてないように監視するため、会員を公選制とし、総理府の機関として内閣直属にした。

 ところがこの制度設計が裏目に出た。元会員の村上陽一郎氏は「日本学術会議はもともとは、戦後、総理府の管轄で発足しましたが、戦後という状況下で総理府の管轄力は弱く、七期も連続して務めたF氏を中心に、ある政党に完全に支配された状態が続きました」と書いている。

 このF氏とは福島要一、「ある政党」とは共産党である。福島は1949年に農林省を退官したあと、大学に所属していなかったが、85年まで学術会議の会員を務めた。当時は修士以上の研究者は誰でも投票できたため、全国の共産党支持者を動員して11期33年間(1期は落選)も会員を続けたのだ。


 共産党に支配された学術会議は、1950年の「戦争を目的とする科学研究には絶対従わない決意の表明」などの極左的な声明を出し、諮問機関として機能しなくなった。

 この状態を是正するため、1984年に学術会議法が改正されて学会推薦になったが、今度は学会ボスが研究費を分け合う場になった。そこで学術会議に代わって科学技術庁の中で調整役だった科学技術会議が2001年の省庁再編で内閣府の総合科学技術会議になり、諮問機関としての役割を果たすようになった。学術会議は内閣府の直属になったが、業務が重複するため、総合科学技術会議の中に学術会議改革委員会が設けられた。

 2003年に出た改革案では、欧米主要国のアカデミーのような政府から独立した法人格を有する組織が望ましいとしたが、学術会議はこれを拒否し、会員を学会推薦から会員推薦に変えただけだった。その後も内閣府の有識者会議が独立性を高めるよう提言したが、学術会議は改革を拒否したため、政府は2007年を最後に諮問しなくなり、休眠状態になった。

 学術会議が世間の話題になったのは、2017年の「軍事的安全保障研究に関する声明」だろう。このときは1950年の決議を継承して、全国の大学や研究機関に軍事研究をしないよう呼びかけ、京大などがそれに従って軍事研究を禁止した。

 この歴史をみてもわかるように、学術会議が改革を拒否して一貫して守ってきたのは人事の独立性ではなく、内閣直属の政府機関としての権威である。それは科学研究費補助金(科研費)の審査委員を選ぶ権限や科学技術予算を配分する権限など、政府の意思決定に影響を及ぼすためだ。

 学術会議の予算は年間10億円余りだが、今年度の科研費は2300億円、科学技術関連予算は4兆3000億円である。軍事研究の禁止声明も、学術会議が政府機関でなかったら話題にもならなかっただろう。

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この間、論文発表件数、特許申請件数で、日本を含む先進国をごぼう抜きにした国が存在する。
中国である。

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https://blog.goo.ne.jp/toyodang/e/2b1307b461f2ed4d9c5bb8d13e31ae89

全分野論文件数各国比較.jpg


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これは、学術会議なる組織が、日本の学界(大学)を長年牛耳ってきたために起きた現象である。

これ以上、学術会議という、劣化し、能力なき、実績なき集団に学界そして高等教育について、好き勝手にやらせていいのであろうか。

劣化し、能力なき、実績なき集団は徹底的にリストラされるべきであろう。

彼らは、政治的発言を通じて、自国の発展を阻害する一方、中共の各界の発展を待望したようである。



民間企業の視点に変えたい。

日本のエレクトロニクス産業は、かつては世界のトップ集団にいたが、今や地盤沈下が著しい。研究に廻せる余力もない、とみていい。

成長が続く、アメリカや中共の大企業は、研究費でも日本企業を寄せ付けず、もはや追いつくことが難しいのではないかと思われるほど強大な存在となった。

では、追いつくには、国策として最低限、何をすべきか。

私が思うに、企業がやりたくても資金不足でやれない、基礎研究分野を大学や国の研究機関が担うことだと思う。

ここで、「ナイーブな帝国 アメリカの虚実」(古森義久)にて、重要な指摘がある。

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「ナイーブな帝国 アメリカの虚実」(古森義久)

175~177頁
いまからちょうど一〇年前にアメリカの日本産業の専門家たちが「日本のエレクトロニクス産業はこのままだとアメリカに大差をつけられ、台湾や韓国にも追いつかれ、大衰退をたどる」と予測していた事実である。

中略

この予測は「日本のエレクトロニクスの危機・ビジョンの失敗」という本の形をとった。

中略

この書は日本のNEC、三菱電機、ソニー、東芝、富士通など、大企業の具体名を出して、今後の衰退を予言していた。その衰退を防ぐための提言がおもしろかった。日本の産業界や政府への次のような提案だった。

①他社の開発した分野にあとから参入し、大量生産とコスト引き下げで追いつき、追い越すという技術文化を変えて、創意や多様性を重視する。
②そのためには大学教育、企業内訓練、終身雇用の制度を変えて、調和や協調、団体行動のみを重視する体質を変える。
③基礎研究は企業から大学に移し、その成果を正当に評価する制度を確立する。
④企業内のリストラも単なるコスト削減、人員削減の範囲内での暫時、部分的対応をやめ、根本からの改革の一端とする。
⑤ソフトウエア危機への対処としてソフトウエア開発部門の徹底重視、コンピューター教育全般の向上、学校教育でのコンピューター使用を拡大する。

以上の諸点は要するにアメリカの特徴を列挙しているのに等しい。日本とアメリカとの産業、さらには社会、文化などの相違だともいえよう。

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特に重要なのは、「基礎研究の研究主体を国策として、企業から大学に移行」という箇所。



素材がほぼ出揃ったところで本稿のまとめに入りたい。


本稿の要点をシナリオ化すべく、以下に箇条書きにした。

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科学技術立国化するには(官営)学術会議の存在が邪魔と考えるシナリオ(案)

①日本の大学の論文件数が国際比較で、先進国中で低位
②日本学術会議は、上記①の状態であるにもかかわらず、防衛研究を拒否するなどの政治的提言、反政府活動の拠点として機能してきた
③中共は、近年、論文発表件数、特許件数とも、世界トップレベルにある
④日本学術会議は、結果的に中共科学技術の発展を直接ないし間接的に支援?
⑤かつて栄華を極めた日本のエレクトロニクス産業には、莫大な費用を要する基礎研究を長期間実施する企業体力はない
⑥日本の科研費予算は2300億円、科学技術関連予算は4兆3000億ほどあるが、国策として科学技術立国化するには、全体予算を増やさない前提で、国際競争力をより必要とする科学技術分野に、科学技術関連予算を振り向ける必要がある
⑦上記⑥の一方策として、科学技術政策的に役立たない日本学術会議の廃止、全国規模で文系学部の大幅縮小が必要(全国規模での国立大学文系学部の徹底リストラ、首都圏での国立大学の整理・統廃合(東大、東京工大、一橋大学、お茶の水女子大、東京医科歯科大、東京学芸大))が考えられる。

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本稿の結論を簡単に書くとこうなる。

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科学技術立国化するために国策上必要なこと(提言要旨)

日本学術会議が今現在、大学など高等教育劣化の根本原因として認識されつつある状況で、政府が国策として科学技術立国化を進めるべく「基礎研究を企業から大学に大幅に移行」したくとも、日本学術会議に支配され続けてきた大学の現状から、現状の大学の体制では「科学技術立国化を目指す、国策の受け皿になりにくい」とみられるため、日本学術会議の廃止、文系学部の大幅縮小を軸とする国立大学の整理・統廃合を進めるべきである。

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日本学術会議は、国家経済発展の一大阻害要因となってしまった!のであり、国策のマイナス牽引車となった組織は、速やかに除去しなくてはならないのである。


以上

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