「一人当たりの国民所得」の一時的な低下原因について

本稿は、2012~2015にかけて起きた、日本の一人当たりの国民所得が低下した現象を中心に、日本の一人当たりGDPが国際比較で中位に留まっている現象などについて、分析することを目的としている。


本題に入りたい。


一人当たりGDPの各国比較の数値をみると、金融立国(スイス、シンガポール、マカオ、香港)の一人当たりGDPは上位にある。政治家が香港の金融機能移転を望むのは、国民一人当たりの名目GDP引き上げを意図した結果である。しかし、この数値を見る限り、日本は中進国であるようだ。

―― 参考情報 ――――――――――

世界の1人当たり名目GDP 国別ランキング・推移(IMF)
https://www.globalnote.jp/post-1339.html

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なぜ、こうなるのか。


まず、人口減少と少子高齢化の同時進行が挙げられる。

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https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/future/sentaku/s3_2_11.html

●経済成長への影響

人口が減少することは、労働投入の減少に直接結びつく。技術進歩などによる生産性上昇に伴って成長率が上昇するのに加えて、人口増によって労働力人口が増加して成長率が高まることを「人口ボーナス」と呼び、この反対の現象を「人口オーナス」と呼ぶ。今後、人口オーナスに直面し、成長率が低減することが懸念される。また、人口減少は資本投入へも影響を及ぼす。例えば、人口が減ることで必要な住宅ストックや企業における従業員1人当たり資本装備は減少することになる。また、高齢化が進むことで、将来に備えて貯蓄を行う若年者が減少し、過去の貯蓄を取り崩して生活する高齢者の割合が増えることで、社会全体で見た貯蓄が減少し、投資の減少にもつながる。

生産性についても、生産年齢人口が増えていく経済と減っていく経済について比較すると、生産年齢人口が減っていく経済では生産性が落ちる可能性が指摘されている。例えば、人口規模が維持されれば、多様性が広がり、多くの知恵が生まれる社会を維持することができる。また、人口構成が若返れば、新しいアイディアを持つ若い世代が増加し、さらに経験豊かな世代との融合によってイノベーションが促進されることが期待できる。逆に言えば、人口が急減し、高齢化が進む社会においては、生産性の向上が停滞する懸念がある。

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日本が人口オーナス状態に突入したという視点で統計資料を眺めてみたい。

年齢3区分の総人口の推移から、生産年齢人口が減少傾向があることが確認されている。


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人口の推移と将来推計
https://www.mlit.go.jp/common/001123470.pdf
人口の推移と将来推計.jpg

我が国における総人口の推移(年齢3区分別)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000273900.pdf
我が国における総人口の推移3区分別.jpg

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生産年齢人口の推移に絞って、さらに分析を進める。

生産年齢人口の定義はこうなっている。

―― 参考情報 ――――――――――

生産年齢人口
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%9F%E7%94%A3%E5%B9%B4%E9%BD%A2%E4%BA%BA%E5%8F%A3

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日本の生産年齢人口は1995年がピークであり、それ以降は減少し続けている。従って、国民所得の伸びはあまり期待できない。

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http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/pdf/sankou_h290328.pdf
生産年齢人口等の推移.jpg


https://www.nice2meet.us/things-corporates-should-tackle-against-the-decrease-in-labour-population#:~:text=%E4%BB%8A%E5%BE%8C%E3%81%AE%E7%94%9F%E7%94%A3%E5%B9%B4%E9%BD%A2%E4%BA%BA%E5%8F%A3,%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%8C%E4%BA%88%E6%83%B3%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
生産年齢人口推移.jpg

生産年齢人口の割合等.jpg


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次に、GDPを見ておきたい。

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日本のGDP(暦年系列)
https://jp.gdfreak.com/public/detail/jp010010001010100001/1#:~:text=2019%E5%B9%B4%E3%81%AE%E5%90%8D%E7%9B%AEGDP,0.6%25%E4%B8%8A%E6%98%87%E3%81%97%E3%81%A6103.3%E3%80%82&text=%E3%81%BE%E3%81%9F%E3%80%81%E5%9B%BD%E9%80%A3%E3%81%AE%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF%EF%BC%882018,%E4%B8%AD%E3%81%AE%E7%AC%AC3%E4%BD%8D%E3%80%82
GDPの推移.jpg


各国の国民一人当たりGDPの推移
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu9-2/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2009/08/24/1282368_2_1.pdf

各国一人当たりのGDPの比較.jpg

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GDPは、第二次安倍政権時代、10%程度上昇した。
2004年から2006年にかけて一人当たりGDPが低下している。これは、韓国への技術移転が原因と考えられる。(詳細下記参照)それ以降、GDPが伸び悩んだのは、中国や東南アジア方面への工場移転が関係している。

―― 参考情報 ――――――――――

日韓間技術協力の変化と特徴に関する一考察
https://core.ac.uk/download/pdf/230430569.pdf

75,000超! 日本企業の海外進出拠点の「国別割合・進出形態・目的」を徹底分析!
https://www.digima-japan.com/knowhow/world/8392.php

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国際情勢的に日本だけが悪者にされ、対米貿易黒字を圧縮せざるを得ない選択として、工場移転を余儀なくされたということである。


続いて、国際比較での国民所得の推移について見ておきたい。

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一人当たりの国民所得
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/databook/2018/01/p021_1-1.pdf
各国一人当たり国民所得比較.jpg


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主要各国の中で、日本のみが1995年以降、ほぼ同水準で推移している。明らかに、異常である。

こうなる背景要因として
・人口オーナス現象継続中
・国際的に日本だけを悪者にした日本叩きの先鋭化(歴史認識問題と連動)
・日本は、対米貿易黒字圧縮のため、韓国⇒中国⇒東南アジアにやむなく工場移転
・日本国内の、生産労働人口の減少
が挙げられる。

では、2012~2015年(一部第二次安倍政権時代)に国民一人当たりの所得が一時的に減少した原因は何か?


推論となるが、2ケース考えられる。

・ケース1
一人当たりGDPの伸びが顕著でない時期に、勤務先からボーナスを貰える生産年齢人口が減少した可能性
・ケース2
生産年齢人口の総所得合計が低下した可能性。
ただし、所得に係わる統計資料が見当たらず、分析が不可能である。


私見となるが、ケース1(団塊世代が大量に定年退職、勤務先からボーナスを貰える生産年齢人口が減少した結果、一人当たりの所得が大きく減少した)の可能性が強いと考える。


ちなみに、5歳単位での人口ピラミッド分布を眺めてみたい。比較的高収入のサラリーマンが大量に退職すれば、国民総所得減少につながると考える。この時期、各地のデパートの大量閉店もあった。

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2013年/平成25年 日本の人口ピラミッド~年齢別
http://demography.blog.fc2.com/blog-entry-7472.html

人口ピラミッド2013.jpg



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第二次安倍政権が、発足当初、連合に代わり、経済界に対し、繰り返し賃上げを要請したのは、一人当たりの国民所得の低下対策の側面があったとの見方ができる。


話は変わるが、以下の動画において、一人当たりの名目GDPが(6年間で?)100万円減ったと語られている。しかし、どの統計資料のどの期間の数値との比較で100万円減ったとしているのか、はっきりしない。

―― 参考情報 ――――――――――

『世界史の分岐点は10月22日の「トランプ大統vsバイデン」になる』
https://www.youtube.com/watch?v=cloEupEkTws&t=196s

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いろいろ調べた結果となるが、ミクロ調査しなければ、断定することは難しいように思う。

生産年齢人口に該当しない、年金生活者の所得が大幅に減少することは(歴史経緯的に)あり得ないため、少なくとも、統計資料を駆使し、上記ケース2における、生産年齢人口における一人当たりの所得が100万円前後減少したことを説明する必要があるのではなかろうか。

以上

この記事へのコメント

  • Suica割

    東日本大震災の影響が回っていたのもあるかもしれない。
    原発の停止により電力不足問題とかいろいろあった影響もあるかもしれない。
    多角的な分析が必要ですね。
    2020年10月24日 11:28
  • 市井の人



    >Suica割さん
    >
    >東日本大震災の影響が回っていたのもあるかもしれない。
    >原発の停止により電力不足問題とかいろいろあった影響もあるかもしれない。
    >多角的な分析が必要ですね。

    原発全台停止、農林水産業関係が該当していると予想します。
    ただ、農林水産業は、税金対策上、所得そのものを低めにして申告していると思われます。
    2020年10月26日 13:40

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