憲法改正議論に係わる四つの変化

5月3日に開催されたオンラインでの憲法改正フォーラム、3万人が視聴したとのこと。(昨年は2万人)

―― 参考情報 ――――――――――

5/3公開憲法フォーラム【ノーカット版】(令和3年5月3日)
https://www.youtube.com/watch?v=qtdCH23Unx4

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本題に入りたい。

最近、憲法改正議論に係わる四つの変化があった。


■変化その1 改憲を肯定する世論が増えた

最近の世論調査によると改憲支持する意見が護憲を大幅に上回っている。安倍政権時代にはなかったこと。

共同通信 必要66% 不要30%
読売新聞 必要56% 不要40%
毎日新聞 賛成48% 反対31%
朝日新聞 必要45% 不要44%
NHK  必要33% 不要20%


■変化その2 改憲反対派は一部の特定野党のみ

今年の、5/3「憲法フォーラム」に、日本維新の会、国民民主党から登壇された議員がいる。公明党は再び護憲派に転向?、それとも条件闘争を選択?

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5/3 憲法フォーラム

【日 時】令和3年5月3日(月)14:00~16:00
【テーマ】この憲法で国家の危機を乗り越えられるのか!
―感染症・大地震・尖閣―
【オンライン中継】は下記からご覧になれます
(申込み不要・無料)
https://youtu.be/qtdCH23Unx4
※5/3以降も録画映像を視聴できます(予定)
※パソコンやスマートフォンで、ご家庭にてご視聴下さい

【ビデオメッセージ】
菅 義偉氏 自民党総裁

【登壇者】〔順不同〕
櫻井よしこ氏(ジャーナリスト、主催者代表)
下村 博文氏(自民党政調会長)
足立 康史氏(日本維新の会幹事長代理)
山尾志桜里氏(国民民主党憲法調査会会長)
河野 克俊氏(前統合幕僚長)
中山 義隆氏(沖縄県石垣市長/ビデオメッセージ)
松本  尚氏(日本医科大学教授)
井上  隆氏(日本経団連常務理事)
佐藤 友哉氏(日本青年会議所副会頭)
田久保忠衛氏(杏林大学名誉教授)
西   修氏(駒澤大学名誉教授)
百地  章氏(国士舘大学特任教授)

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■変化その3 世論が改憲を肯定する背景の共有化

小坪議員のブログにて秀逸な解説が読める。

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https://samurai20.jp/2021/05/kaiken-8/

報道されない「改憲」が必要な理由。「緊急事態に関連する、様々な立法行為ができない」ため。

端的に言う。
「憲法に緊急事態」を明記しないと、関連する立法行為ができない。例えば休業補償であったり、国民それぞれへの給付処置であったり。ここまでの事実上の有事になった際に、”どうするのか?”という取り決めをしておく必要がある。これらの法整備は、憲法を改正しないと制定できない。

たかだが憲法に一条を追加したぐらいで意味があるのか?と言えば、ある。
法をベースに条例を作るように、法とは憲法の上につくるもの。
土台がないのに立法行為はできない。空中に家を建てるようなもので、やれないものはやれないんだ。

昨年の緊急事態を思い出して欲しい。
特別定額給付金でもトラブルが起きた。通帳の写真をアップする仕様だったのだが、スマホのカメラの解像度の上昇を加味していなかったのだろう、送信された画像の処理が遅延したことも一因で、SPEC不足も原因と指摘されている。そんなバカなことを笑うか(または怒るか)もしれないが、法がない以上は「通常業務とは異なる、ぶっこみ仕事」として実施された。法がなければ、条例などで業務マニュアルに落とし込むことができない。ある意味では仕方なかった。

雇用調整助成金。実態としての休業補償として運用された。既存制度の魔改造でやったというのは、緊急時においてはよくやったとは思う。
けれど開始時の上限額は8000円ちょっと。20日稼働として16万円ほどが対象。本来は申請が非常に難しく、書類が大量に必要であり素人では対応は不可能なレベルだった。ハードルを下げれば正解というものでもなく、すでに既存の制度として回っていたものゆえ、下げ過ぎれば不正の温床にもなりかねない。実際に犯罪も起きた。

なぜ憲法を改正する必要があるか。
もう一度、言う。
私が言いたいのは「緊急事態に付随する様々な立法行為」が、憲法を改正しないとできないという点。

昨年の緊急事態宣言前、相当に初期の段階で「他国のような強硬なロックダウン」などが我が国ではできないことを問題点として述べてきました。戒厳に近いことはできない。私権の制限を伴う行政判断が、我が国には権限として付与されていないのです。そして、私見の制限に対する補償も、法として制定できないし、事実上、【議論すらできない】状態です。(ここで違憲立法審査権がでてきます。)

仮に感染がさらに爆発的に蔓延し、「ついに、ここまで来たならば、シャットダウンのスイッチを押すぞ!」という選択、そのスイッチがついていないんだよ。
緊急事態に関連する憲法がないというのは、そういうことです。

憲法に、緊急事態に関する条文を追加。
のち、「緊急事態に関連する法を制定していく」のです。本来ならば、定額給付金であったり休業補償に関する規定などは、事前に立法しておく責務がありました。ただし、憲法が規定されていない以上は、いかに国会議員とはいえ、それは国会で公に審議することができないわけです。

ここは多事総論あろうかと思いますが、はっきり言っておきますね、
改憲しないと、これらの法の制定は議論すらできない。実際、できなかったんだ。
定額給付金や雇用調整助成金でトラブルが多発しましたが、こんな緊急でこれだけやれば、これぐらいのトラブルは出てくるでしょう。政府はよくやっているとは思います。一年も経過して、一回目と同じというのは情けないとは思いますが。

報道は、「緊急事態を憲法に明記」しないと、関連する法体系が作れないとは口が裂けても言わないでしょう。野党の議員も”そんなことはない!議論はできる!”と理想論をわめくのでしょう。

覚えておいてください。
憲法を改正しないと、つまり基礎がないと、その上の建築物を建てることはできません。
「憲法という土台」がないのに、その上に法律を作ろうとした場合、どうなるか。”違憲立法審査権”でやられるのです。憲法違反の法は制定できない。かつては左派やメディアが「違憲立法審査権、違憲立法審査権」と連呼していたと思います。あれをやられると、作った法律は死ぬ。改憲しないと、ここはできないんだ。だからでしょうか、最近は違憲立法審査権という言葉を左派も言わなくなったし、メディアも触れておりません。

(大事なポイント)
・憲法に緊急事態を明記しないと、法整備はできない。
・緊急事態に関連する複数の法案は、審議する権限を国会は(実態として)持っていない状況にある。
・無理やり作っても違憲立法審査権で吹き飛ばされてしまう。

報道されないと思うので、しっかり広めてください。

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■変化その4 憲法無効論の位置づけ共有化

いろいろ語られ、拙ブログにて議論のテーマとして取り扱ったが、徳永信一氏の見解が正鵠を得ているように思う。

―― 参考情報 ――――――――――

「現行憲法を廃棄し、五か条の御誓文のみを残して不文憲法にすべし」という主張について
https://note.com/tokushin_note/n/n8bd0646552a5

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憲法無効論に関する、四つの重要な指摘に注目したい。

・所詮は「気概」の表明
・現実の政治課題に対してどのように向き合うべきかをきちんと位置付けすることがなければ、これまでの議論と同じく単なる思想的自慰の域にとどまる
・都合の悪いことは無効だというのは法律や制度の専門家集団(官僚、弁護士、政治家、教授連)からみては、どうしようもなく幼稚な議論
・(無効論に向う)エネルギーを9条改正論に向かわせることが、、、望ましい

私からみて、無効論者は、無効論を語る前に、真正保守であると語り、誰よりも愛国者であり、保守的であらんとする姿勢を強調する傾向があるような気がする。
私見だが、憲法無効論は緊急時対応として採用する余地を残す位置づけとし、平時の改憲議論の選択肢に採用する必要はないと考える。
無効論を否定するのではない。現実に起きている問題とどう向き合うかという視点が大切。



なお、拙ブログは、政治的立ち位置(イデオロギー)から「個別の政治的スタンス」が導かれるのではなく、起きている事象に対し、國體、歴史的経緯、公序良俗の視点から、あるべき姿を追求する方針である。

『現行憲法は「無効」だとの気概をもって「改正」に当たろう』との京都大学の佐伯啓思教授の指摘のとおりだと思う。

以上

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