作文とスピーチ

10年くらい前のこととなるが、町村信孝元官房長官ブログを読んでいた。一連の作文は、自らが答弁者として記者会見に臨むことを前提とした完成度の高いものであった。
こんなにスラスラ作文できる政治家が居たことに驚愕した。


政治文書には、施政方針演説、答弁書、日頃見慣れている批判文、問題提起文、提言書、呼びかけ文、陳情書、パブリックコメント、意見要望等、苦情等いろいろある。

特徴的に言えることは、責任ある立場でない限り、口頭で語るのと、作文した文章が一体化することはほとんどない。

口頭で語ること、文章上書かれていることが一体化することは、言行一致であることと同様、簡単なことではない。

現職議員での例外は、菅前官房長官、加藤勝信官房長官くらい。二人とも、政治家としては嫌いなタイプだが、(文書で書かれていることとスピーチが一致している点において)官房長官としては有能と思う。


安倍晋三という政治家もそうだった。外交の場での発言、政府としての答弁、選挙での遊説、あれほど(文書で書かれていることとスピーチの齟齬がない)うまく立ち回れる政治家はそんなにいない。

普通は語れば語るほどボロが出る、、、それを知っていて野党とマスコミは森友・加計事案で引っ張り続けた。
では、安倍晋三は雄弁な政治家なのかというと、私はそうはみていない。

なぜなら、できそうもないことは語らなかったからである。保守層向けには抑制された発言が目立った。特に対中外交姿勢。


一般に、雄弁な政治家であればあるほど、できそうもないことをできると語り、支持拡大に繋げようとする傾向がある。選挙詐欺師と言われる現都知事が該当する。現都知事は前任都知事の実績を追及するが、自分の実績については不問としたがる人物である。

官界はどうか。決裁文書の提案理由欄、提案事項にふさわしい字句を書ける人だらけであれば、、行政機関の問題はあっという間になくなる。官界で最も有能な人は、重要な政策変更、政策・方針に係わる決裁文書がスラスラ書ける人ではないかと私はみている。

これは、口頭では何とでも言うが決裁文書レベルになるとまったく書けない無能な上司、先輩を何人も見てきた経験から書けることである。


言論界もしかり。政治分野で本を出している言論人が、年に1回でも官邸に提言・陳情書を提出し、パブリックコメントに参加表明すれば、かように政治課題など山積するはずはない。

一連の現象は、言論活動全般の生産性の低さを意味する。日本がなぜホワイトカラーの生産性が低いのか。言論界は自分たちの問題であると深刻に受け止めるべきだ。

―― 参考情報 ――――――――――

「日本人の生産性」は先進国で19年連続最下位
非効率なホワイトカラーの働き方はどう変わるべきか
https://diamond.jp/articles/-/54160

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誰よりも愛国保守主義を掲げる言論人が、年金を頂き医療費の窓口負担1割の年齢になってもまだ売り上げ増一辺倒?、批判中心?総論程度?心構え程度?の言論活動でいいのであろうか。

一つのサンプルとして、中川八洋の西尾幹二批判を挙げたい。

言論人が年金を頂き医療費の窓口負担1割の年齢になったということは、国家に対し最後に奉仕する年齢になったと考えるべきなのである。
これは、問題解決、課題解決に直結しない、生産性を意識しない言論活動に対する、市井の側からの問題提起である。

以上

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