菅内閣が短命に終わった理由

菅首相が次期総裁選不出馬を表明したことで、菅政権が発足1年ちょっとで終わることが確定した。そうなってしまった理由についてネット上での議論が始まった。

―― 参考情報 ――――――――――

菅の何が駄目だったのか、誰も説明できない説
http://blog.livedoor.jp/nwknews/archives/5833792.html

菅政権の評価
https://yamatonoibuki.seesaa.net/article/483254148.html

菅総理大臣の敗因を真剣に考えるスレ
http://military38.com/archives/56059714.html

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「パチンコ屋の倒産を応援するブログ」は、菅総裁総裁選不出馬の原因をかく分析している。


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https://pachitou.com/2021/09/03/%e8%80%90%e3%81%88%e3%81%a6%e4%bb%95%e4%ba%8b%e3%82%92%e7%b6%9a%e3%81%91%e3%81%9f%e7%b7%8f%e7%90%86%e3%82%92%e3%81%be%e3%81%9a%e3%81%af%e7%a7%b0%e3%81%88%e3%82%8b%e3%81%b9%e3%81%8d/

耐えて仕事を続けた総理をまずは称えるべき

菅総理は地道な実績で評価させたかったのでしょうが、
実績と言っても多くの人に知ってもらわねば意味がなく、
解散を打てる時に打たなかったことでジリ貧になっていきました。

この差が幹事長に居座り続けようと菅に抱きついてきた二階を更迭できない原因となり、
ギリギリになってからようやく二階を辞めさせることを決めたものの
それだけでは総選挙に勝てないので総裁選を諦めなければならないところに追い詰められた。
そういうことだろうと思います。

選択できるときに選択しなかったこと、
言わずとも実績でわかってもらえるなどという間違った価値観を改めなかった事
これらが自らの選択肢をどんどん狭くしていって行き詰まった結果とも言えるでしょう。

こうした事を踏まえて今後の総理総裁には情報発信力の強化、
記者クラブをいかに対策していくか、
沈黙は金と言っても
かつては金は鉄や銀より価値が低かったのです。
その時代の言葉なんて言われています。

||||| ここまで引用 ||||||||||||||||||||||||



菅首相本人は、こういう感覚なのかもしれないが、私は、首相の最側近の能力不足を指摘したい。

第二次安倍政権の場合、内閣支持率が低下すると政策としてのカンフル剤と打っていたような印象がある。そうでもしなければ内閣支持率を長期間維持できないからである。


前首相が最後に官邸を去る際のシーンを思い出したい。


―― 参考情報 ――――――――――

安倍首相が官邸を後に
https://www.youtube.com/watch?v=PRd6TNhNZAI

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最前列におられる杉田内閣官房副長官を見つけた。周辺にいる方々は日本の頭脳。
杉田官房副長官を筆頭に、表情に緊張感ある方々が多い。いつもと変わらない雰囲気で挨拶する首相、厳しさの中に、身内にするような親し気なやり取りがあったように見える。眺めていて、前首相は(安倍ファン状態の)官僚に囲まれ仕事をしたように見える。
この動画を通じ、首相と官邸スタッフは、一緒に飯を食い、酒を飲んだ、世代を越えた仲間のように見える。

一方、政治家の中には、官僚に対し居丈高に接する議員を多く見かける。地方議員にもたくさんいる。もちろん、万年野党はそういうことを平気でやっている。


菅首相の場合はどうだったか。
発足当初稀にみる高支持率であったものの、その後はジリ貧状態。

なぜそうなってしまうのか。内閣支持率が時系列的にジリ貧となるのは政界のジンクスである。反日マスコミが政権を追い詰める手段として、あるいは政界に影響力を行使するための手段として、世論調査を実施してきた面があるように思う。その原資はどこから来るのか、、、


ジリ貧状態を回避するには、分析、提言できる有能なスタッフが必要となるが、菅首相の場合は政権中枢に居たのか。
3ケース考えられる。

①内閣支持率ジリ貧を回避、カンフル剤となる措置等を提言できるスタッフが周辺に居なかった
②居ても役割を認識できていなかった
③最側近にそもそも対応スキルがなかった

内閣支持率の動向をグラフ化するくらいなら誰でもできることである。なんとか通信社出身で首相と同郷の方は、官邸でマスコミ各社が実施した内閣支持率グラフの推移くらいは提供していたように思う。


しかし、菅首相本人は、「言わずとも実績でわかってもらえるなどという間違った価値観」をお持ちの方である。

これは、政権としての成果の実績評価を官邸外の人(特にマスコミ)に委ねたことを意味する。


前政権が、選挙時に政権としての実績(経済指標レベルのもの)を掲げたことはご存じのことと思う。自民党HPにおいて、アベノミクスの実績評価サイトがあった。

―― 参考情報 ――――――――――

アベノミクス6年の実績評価
https://www.jimin.jp/election/results/sen_san25/political_promise/infographic/

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マスコミがアベノミクスの実績をきちんと報道しないので、自民党にて情報発信したケースである。

本来ならば、官邸内に、マクロ的視点でみて、政権は成果を上げているのかいないのか。(指標的なもの)成果を上げていないとすればそれはどこに原因があるのか、実績で勝負するタイプの仕事師レベルの首相なら、優秀なマクロ分析者を最側近として配置する必要があったのではないか。



菅政権は、世論対策上、迅速なコロナ対応、ワクチン接種情報について、実績として情報配信すべきだったのではないか、という見方が生まれる。

マクロ分析の事例は以下の記事が参考となろう。

―― 参考情報 ――――――――――

マクロ分析の社会的意義
https://sokokuhanihon.seesaa.net/article/483195595.html

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おそらくであるが、菅首相の側近に、①マクロ分析したうえでどんな追加措置、対策が考えられるのか、②政権維持のための次なる一手ははどうすべきか、③成果を出したにせよ出していないにせよ(政権としての)広報戦略をどうすべきか、これらについて提言できる人が居なかったのではないか。


あるいは、政権中枢の趨勢を仕切れそうな有能な官僚がいても、菅首相が実務的に有能過ぎて官僚を信用せず、あるいは官僚側から煙たがられているなど政権延命に繋がる有効な提言を行う官僚が外されていた可能性がある。


拙ブログは、菅政権について同情的である。なぜなら、稀にみる仕事をした政権だったからである。長丁場の国会、オリンピック、ワクチンだけでなく、学術会議問題での対応、デジタル庁発足、携帯料金引き下げもあった。

(体調不良を口実に政権を降りた)前政権を官房長官として長期間支え、首相就任後は前首相の路線を引き継ぎ、全方位的に精力的に業務遂行され、年明けからの異例の長丁場の国会を無難に乗り切り、中止と囁かれたオリンピックをなんとか開催・成功させ、コロナ対策としてワクチン接種を加速させた、実務的に有能な方である。

もし前政権時代から長期間官房長官でなかったら、あるいは、コロナ下でのオリンピックでなかったら、もっと首相で居られたはずである。

菅首相には、やると決めたら確実に実行、実現する胆力、気概があった。現場第一線の指導者としては極めて優秀。



首相の欠点は、対人的な印象の悪さ。本人はそうではなくても、目の動きなどから何を考えているのかわからず、表情的に冷酷な印象があること。人を喜ばせる演技や一発芸みたいな芸当、国民各層に直接語りかけ良い印象を与えることは上手ではない。


従って、総裁選再選を目指すなら、(首相が不得意とする)国民各層にどう訴えるべきかなど、官邸広報、首相としてのイメージ広報に注力すべきだった。最側近の立場の人なら当然気がつくべきことである。

政権発足時の経緯から察するに、菅首相は、その役割をなんとか通信社出身の方に期待したような気がする。

すなわち、菅首相は、最側近とすべき人の人選を間違い、なんとか通信社出身のあの方はすべき仕事をまったく認識せず傍観、その結果、政権中枢が支持率ジリ貧のジンクスに埋没、最大の後ろ盾だった二階降ろしで最終的に行き詰まり、総裁選不出馬を表明せざるを得なかったと考える。


最後に、本稿のまとめとして、菅首相の政権運営上のミスが4点あったことを指摘したい。

・言わずとも実績でわかってもらえるなどという間違った価値観を改めなかったこと(「パチンコ屋の倒産を応援するブログ」の見解どおり)
・官邸内で、政権の実績や内閣支持率に係わる有能なマクロ分析者が見当たらないこと
・内閣支持率ジリ貧の中で、政権維持に繋がる次なる一手ははどうすべきかについての、官邸内の検討体制が不十分とみられること
・首相が不得意とする、国民各層にどう語りかけ訴えるべきか、官邸広報、首相が不得意とするイメージ広報を軽視したこと



一言で言うと、菅政権が短命に終わったのは、首相が実務的に有能過ぎて有能な官僚を信用できなかったか有能な官僚側に任せることをしなかったこと、あるいは(すべき役割を認識しない?、無能な?)通信社出身の人を最側近として首相補佐官に任命したためと考えられるのである。

以上

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