提言書・陳情書・稟議書を繋ぐもの

拙ブログは、政界・官界向けの提言・陳情行為がどういうものか、官界で決裁されることはどういうことなのか、学術会議改革問題を素材として、提言書、陳情書、稟議書イメージモデルについて、それぞれ配信した。


まず提言書モデルから説明したい。


■提言書モデル

視点を変えた検討書をいくつか作成した。最終的に、納得しうる水準まで検討作業を繰り返すことになる。拙ブログは、視点を変え、論点を絞り込み、何が問題なのかを明らかにしたつもりである。検討経過の一覧を以下に示す。

―― 参考情報 ――――――――――

学術会議任命問題 「行政改革」は戦後レジーム完全脱却への初手
https://sokokuhanihon.seesaa.net/article/477895118.html

科学技術立国化するには(官営)学術会議が邪魔?
https://sokokuhanihon.seesaa.net/article/477972953.html

日本学術会議(公務員学者組織)は廃止もしくは抜本改革されるべきである
https://sokokuhanihon.seesaa.net/article/477717459.html

日本学術会議改革(案)
https://sokokuhanihon.seesaa.net/article/477724855.html

非常勤公務員学者の政治活動問題
https://sokokuhanihon.seesaa.net/article/482651259.html

公務員学者政治活動問題 どういう理屈で懲戒処分とするか
https://sokokuhanihon.seesaa.net/article/482768923.html

公務員組織の管理責任について
https://sokokuhanihon.seesaa.net/article/482798201.html

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■陳情書モデル

前記の提言書等を作成しつつ、陳情書を提出する前提で、何が問題なのか、政府としてどういう理由で学術会議改革すべきであるか、手紙文形式で纏めた。この時点で、官界でどういう論理で意思決定されるべきか、稟議書モデルがイメージできていれば、陳情書の作成は容易となる。

―― 参考情報 ――――――――――

杉田官房副長官への要望書(案)
https://sokokuhanihon.seesaa.net/article/482812781.html

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なお、本内容については、いわゆる官邸メール手続きにより提出済。


■稟議書イメージモデル

稟議書とはどういうものか、何が書かれているか、イメージしにくい方がおられることを想定、稟議書モデルを作成した。内容的には、拙ブログ管理人が内閣府スタッフと仮定、拙ブログ検討結果、すなわち陳情書趣旨どおり現実化した場合を想定、前述の陳情書モデルの文案に沿った文案を稟議書モデルとさせていただいた。
ポイントは、なぜ学術会議改革しなくてはならないか、官界稟議書の提案理由欄に文書審査上問題とされない文章表現である文言・文章表現とすることにある。

―― 参考情報 ――――――――――

学術会議改革 稟議書イメージ
https://sokokuhanihon.seesaa.net/article/483040025.html

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参考までにSuica割さんからのコメントを紹介させていただく。

||||| ここから引用開始 ||||||||||||||||||||

https://sokokuhanihon.seesaa.net/article/483040025.html#comment

Suica割

1.日本学術会議組織体制見直しの骨子

・学術会議会員について、政治活動制限の適用除外廃止
>国家公務員法○○条の政治的活動制限に関する規定を準用するを入れれば大丈夫ですね。優先順位高いです。

・学術会議会員OBについて、学術会議会員肩書を利用した政治活動を禁止する(一個人で肩書を使用しない政治活動は禁止とはしない)
>それについては、実現できるかはわかりませんが、考えとしてはありですね。ただ、他の公務員が元職の肩書を使っている以上は、それとの平等性をつかれるときついですね。

・学術会議会員による学問の自由侵害行為等について、懲戒処分対象化
>これは、最優先でしょう。自己否定も甚だしいですし。

・内閣府傘下の団体と位置付ける限り、他団体との交流・協議・協定を禁止
>一例として国立大学法人を見ると、他国の大学等と協定を締結してたりしていますし、研究のための交流等を禁止するのかという批判を証拠つきで出されても面倒です。
ならば、研究のためという建前に押し込める方が合理的でしょう。
他団体とのやり取りを全て公開する義務を負わせる。
せめて、協定は内閣府の認証を得ることにする。
何もしないより、格段にマシです。

・事務局機能に、学術会議会員懲戒処分手続き等を追加
>当然、必要でしょうね。

・外部監査機能を内閣人事局内に新設(監査委員は非常勤数名程度、内閣人事局が監査委員を指名)
>今の世の中、どこの役所にもありますし、自分たちだけは必要ないという言い訳は通りませんね。

2021年08月22日 10:57

||||| ここまで引用 ||||||||||||||||||||||||



■まとめ

本稿は、日本語文章教室ではない。上手な日本語表現とか、読者を感動させる文章とか、物書きとなって一儲けするノウハウとかについて述べているものではない。
ただただ、政治目標を実現するために、本稿を読まれた無名の市井の方が、政治家や行政機関に対し政治的課題等提言、提出する陳情書においてどういうスタイルで文章化するかを目的としている。陳情書を提出したとして官界にてどういう文案で稟議書決裁に至るかについても実務的スタンスで示した。

要点を絞り込むとこうなる。

・各検討書は、客観情報(法律、行政文書等)を根拠情報とすべきであり、最終的に提言することを想定する必要がある
・提案する場合は、理由を明記する必要がある
・陳情書においては、客観情報を根拠に論点整理するほか、なぜそうしなければならないのか、官界で通用する論理で理由を明記する必要がある(保守、愛国、売国等のイデオロギー的キーワードを使用することではない)
・稟議書は決裁前に、通常文書審査が実施される関係で、提案理由記載がない稟議書は、官界慣例として、起案段階で差し戻しとなると推定(決裁されることはまずない)


すなわち、なぜ学術会議を改革しなくてはならないか、理由を示さない提案、理由を示さない陳情は、官界に改革理由シナリオ構築を丸投げしている時点で提言・陳情したと見なされないのである。
巷の保守系団体、言論人たちが、例によって、動画ないし新聞紙上あるいは街頭で、問題だー問題だーと大騒ぎしたところで、官界がまったく反応しない理由はここにある。

すべては、検討作業を通じて、意思決定を促すシナリオ(=稟議書上の提案理由)を編み出し、提言レベルに纏められるかどうかにかかっている。

言い換えると、提案理由を文章で示せる次元にグレードアップできて、動画、新聞紙上、街頭演説が初めて説得力を有する状態となるのである。

単に「〇〇すべきだ」ではなく、「△△という理由で〇〇すべき」と主張すべきということなのである。

以上

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