「新しい資本主義」岸田首相の目玉政策「四半期開示」の見直し...「決算短信」一本化で進んだ舞台裏とは
https://www.j-cast.com/kaisha/2022/05/15436835.html?p=all
上記見直しは、『「公益」資本主義 英米型資本主義の終焉』(原丈人)での提言の結果とみられる。
当該箇所から引用させていただく。
▽▽▽ 引用開始 ▽▽▽
おそらく、皆さんが本書を手に取ってくださる頃には、我が国政府が。「四半期決算短信における業績予想の様式」を削除する方針を決定し、発表しているであろう。
2005年に財務省参与に、その後、内閣府参与に就任して以来、「企業経営における短期主義の是正」を一貫して主張してきたが、その実現に向けて、ようやく第一歩を踏み出せそうだ。
約3500社ある日本の上場会社のすべてが、四半期ごとに要求される業績予想義務から解放されることには、極めて大きなメリットが期待できる。四半期決算のための費用と時間を節約できるだけでなく、経営者や中間管理職の経営観を短期主義の呪縛から解き放つからだ。
四半期決算廃止によるコストの節約分で九よを増やせば、個人消費に廻り、GDPを押し上げるはずだ。また労働時間や残業時間の短縮は、「働き方改革」につながるだろう。
四半期の業績予想を出すことは、実体経済にとって無意味なことだ。四半期ごとに利益確保が求められ、最終的に企業に利益をもたらすはずの中長期投資の重要性が無視されるからだ。さらには1年単位の経営計画にも悪影響を及ぼしうる。というのも、流通、建設、鉄道、その他のサービス業においては、季節変動がある業態がほとんどであるからだ。こうした業種では、四半期ごとに売上げや利益の上昇を期待されても、会計上の操作でもしないかぎり、目標は達成できない。
「情報開示」の観点から見ても、四半期決算開示は望ましくない。「合法的な範囲」であっても、もっぱら四半期決算のために、財務調整、損益調整、トップライン調整などの「会計上の調整」が行われるのであれば、いずれは「不正会計」の温床となる。不正会計事件を起こした東芝も、パソコン部門の営業利益の推移を見ると、決算が行われる四半期の末月に利益が嵩上げされていた。要するに、四半期決算という制度が不正会計を促す要因となっていたのだ。
△△△ 引用終了 △△△
書いてある内容は至極尤もなこと。
ただし、本書180~200頁で述べられている公益資本主義12のポイントの提言はピンとこない。著者の意義込みはわからないではないが、公益資本主義の基本的考え方と実現したい項目を繋ぐ論理構築が十分とは言えない気がする。
さらに、本の書評もパッとしない。
多彩な経歴を有し、政府委員を歴任していたにしては実力的に?。政府からみて利用しやすいオピニオンリーダーなのであろう。
以上