選挙前の発言からすると、一歩踏み込んだ内容と評価しうる。岸田首相は、決断と実行の男に変貌しつつある。
首相、原発最大9基稼働を経産相に指示
https://www.sankei.com/article/20220714-FNYDAZC2XZPI5BAJFDPBQEOGOA/
さて、ドイツはエネルギー供給源をロシアに依存、ウクライナ紛争勃発後はウクライナ支援に廻ったこともあり、エネルギー供給不安による経済基盤の弱体化が指摘されている。
ロシア、欧州をガスで揺さぶり ドイツ経済に不安広がる
https://www.sankei.com/article/20220713-25ZGN3MTVFMVJA6GQGCKBEIW6Q/
そのドイツが、中共と対抗する目的で日本と外交関係強化を目指している。中共ベッタリだったメルケル外交も修正せざるを得なくなった。
日独外相、対中念頭に連携 首脳協議来年開催へ調整
https://www.sankei.com/article/20220711-5M6VISCIGFM5LPVD53HOVCCBFQ/
ドイツと中国の関係は、戦前に遡る。ドイツが蒋介石を支援、上海事変の時代、日本軍はドイツの支援を受けた中華民国軍に手こずった。
「大隈重信、中国人を大いに論ず」(大隈重信著、倉山満監修)にて、首相だった大隈重信が書き残したものが現代語訳で読める。
要点のみ抜粋させていただく。
▽▽▽ 引用開始 ▽▽▽
このたびの交渉の経過は、このようなもの
彼らの感情は、まったくもって極端から極端へと行く。
日本の排斥が、支那じたいの力ではうまくいかないからといって、他国の力に頼ろうとする。そこでアメリカに頼みに行く。それから、とくにドイツに頼みに行く。
ドイツは、シナ人の心理状態を利用した。それが日本人排斥に向かっていることを知ると、巧みにその機に乗じて、支那への迫害を試み、とうとう山東省を占領することで、東洋の平和に対する将来の禍根を植えつけた。
幸いに、日独戦争の結果、その山東にあったドイツ勢力を掃討できたのであるが、それにもかかわらず、長年にわたって扶植された(広く植えつけられた)ドイツの勢力が、いまなお日本を排斥する。そして支那人は、日本に与しようとはせず、かえってドイツ人を助けて、ともに日本を排斥しようとするのだ。
とくに言うまでもなく、あの大国は、けっして他国によって征服されることはない。もし、支那が亡ぶようなことがあるとすれば、それは自滅であって、外からの攻略によるものではない。
中略
わが日本であっても、結局のところ、支那を亡ぼすことはできないのである。
仮に、うまくいって、いっとき支那を亡ぼし、その主権を掌握することができたとしても、あのような不検束な(抑制のきかない)大国を統治し、これをある程度の節度のもとに服させようとするのには、たいへんな尽力と財力をあわせて要する。
日本がそれを試みたところで、日本の財力は、たちまち枯渇するであろう。いや、欧米の力をもってしても、同様に不可能とみるべきだ。
ヨーロッパ全体の規模に近い大民族を、一刻の力で統御しようなどというのは、まったくもって空想に他ならないのである。このことを知るのは、日本だけでなく、世界もおそらく同じだろう。それで、いっときはあった、中国を諸国で分割しようとするような態度、つまり侵略的な態度は、放棄されたのである。
自国の力によって支那をうまく奪えないことがわかれば、それと同時に、他国にこれを奪わせてはならない、という考えが怒るのは、いたって自然のことである。
△△△ 引用終了 △△△
チャンネル某に出演する機会が多い、ドイツ在住のとある(自称?)専門家は、得意げかつ口癖のように「日本はドイツを見倣うべきだ」とつい最近まで口にしてきた。
しかし、状況は一変、ドイツはエネルギー基盤の脆弱化が露呈、軍事費大幅増の方針変更を政府として発表した。加えて、日独関係の強化により、戦前、戦後と中国びいきだったことも止めるようだ。
つまり、ドイツには見倣う点はなく、この専門家は一体何を分析していたのか、、、ということになるのである。
以上