宗教が政治に介入し過ぎている問題

トランプ率いる共和党は、中間選挙で、上院、下院両方を制することはできなかった。


理由として挙げられるのが、中絶問題などでの世俗的な面での対決姿勢。(トランプ陣営の有力な支持母体である)キリスト教福音派の主張(対決姿勢)をそのまま受け入れ、危機感を持った民主党支持層の投票率増を招いた。もっとマイルドな主張をすればいいとする指摘は尤もなこと。


米中間選挙で勝ったのに敗戦の共和党
https://www.thutmosev.com/archives/89400816.html#more


中間選挙での結果を受けて、バイデン陣営はバイデン再選の可能性が出たと分析している。


バイデン氏の出馬支持 次期大統領選で下院議長
https://www.sankei.com/article/20221114-JRQIQ2W3PZIU5ELUCRAX66E6QY/


バイデン陣営は、トランプ陣営が次回大統領選挙において、「キリスト教福音派が主導する、妥協できない政治的主張を受入れ続ければバイデン候補の勝ち目が出てきた」とみているのであろう。
反対に、私は、トランプ率いる共和党が政権に返り咲く可能性が高まったとみている。

キリスト教福音派が政治的主張を明確にし始めたのはカーター政権に遡る。


▽▽▽ 引用開始 ▽▽▽

「アメリカを動かす宗教ナショナリズム」(松本佐保)

カーター大統領の裏切りにより「政治化」した福音派

この保守派で共和党のニクソンが選出された段階では、福音派はまだ政治にほとんど関心を持つことなく教会などの宗教活動に専念していた。彼らが「政治化」するきっかけとなったのは、皮肉にも南部バプティストで牧師として日曜学校で教えた経験もあるカーターが、その南部福音派の指示によってジョージア州知事となり、大統領となる道筋を開いたことに端を発する。

しかし、七三年の妊娠中絶合法化の「ロー対ウエイド判決」にカーターが理解を示す態度を取り、また大統領となって当時非課税であったキリスト教系学校に課税する政策を導入したことに福音派が怒りを爆発させたのだ。
「サイレント」であった彼らの怒りが声となり、積極的に政治参加を行わないと、アメリカのキリスト教的な価値観によるアイデンティティや社会が生活が脅かされると感じたのだ。さらに追い打ちをかけたのが、カーターの「人権外交」である。東側へのリベラルな外交姿勢、そして「デタント(緊張緩和)」による共産主義諸国への柔軟な姿勢は、強硬な反共産主義の立場であったキリスト教ロビーには、弱腰で妥協的な外交に見えて我慢ならなかった。
また一九七九年にイランのアメリカ大使館で発生した人質事件での人質救出作戦の失敗も、イスラム革命で宗教国家となったイランにキリスト教国アメリカが恥をかかされたと感じていた福音派の堪忍袋の緒が切れる決定打となった。

福音派の「偉大なる大統領レーガン」と共和党への寝返り

同じ南部バプティスト出身のカーターに裏切られたと強く感じた南部福音派は、「政治化」する以外に「キリスト教のアメリカを守る」方法はないと考えた。一期目のカーター政権に幻滅した福音派は、二期目のカーター大統領再選を阻止する策を模索する中、その対抗馬として共和党から出馬したレーガンに寝返る結果となった。レーガンは離婚歴があり、敬虔なキリスト教徒の票を集めるには不利と言われながら、中絶反対など内政でも対ソ連強硬外交政策でもカーターの真逆であったことから、福音派の支持を集めることになる。

△△△ 引用終了 △△△


私は、トランプ支持派だが、共和党は政治姿勢として、原理主義的かつ対決姿勢を続けていて勝ち目はあるのだろうか。指摘される選挙不正は、確かに謀略工作の一種で問題とすべきだが、対決姿勢が不正を蔓延させる原因となっている可能性はないのか。

よって、トランプ陣営は次回大統領選挙に勝利するために、選挙戦略見直しに直面していると考えるのである。

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