私個人は、会社の組織改正、ビジョン等の検討作業過程でこの種の孤独感を数年間経験した。
酒を呑みたくなった時に、価値観を共有できる同志が周囲にいなかったことは正直辛かった。一人で酒を呑み、あるいは喫茶店で課長島耕作というマンガを読んでから帰宅する日が続いた。
以前から気になっていた、独身女性と何度か食事して気分転換したこともあった。(浮気ではない!)
組織改正においては、自分が元所属した部署がリストラ、格下げする前提での組織改正事案に、私が選ばれた。ビジョンについては、役員からの質問に上司・先輩が誰も答えられない結果(検討結果が作成できない)、私にその仕事が廻ってきた。
どちらも損な仕事だったが、何とかやり遂げた。
ただ、胃が痛くなる期間を5年ほど経験、ハチミツをなめ、ゲンノショウコにより回復した。
さて、岸田首相が今だ体験したことがない孤独感の中にあると報道されている。
誰も守ってくれない?岸田首相の「孤独感」
https://www.sankei.com/article/20221225-BKDVFP62D5P75AKRHN5MNZLY4Q/
なぜ孤独なのか。
いざと言う時に一緒に行動してくれる同志が足りないことに尽きる。
岸田首相が今味わっている孤独感は、三島由紀夫が自決寸前にさんざん味わった類の孤独感、無力感に近いのではないか。三島由紀夫を絶賛する言論人たちに、本当の意味で覚悟があったのだろうか。例えとして三島由紀夫や特攻を語る人たちに覚悟ある行動を実践するスキルはあったのか。
首相官邸に日々せっせと提言レベルの陳情書を持ちこむ言論人は皆無。
大多数が、首相の見解・方針発表を待ち、発表後に一斉に反応を示す。
誰も首相に先行し意見を述べることはない。安倍談話のケースがそうだった。
若い頃から、企画書、提言書を書いていれば、たとえ孤独であろうと悩むことはない。
私の場合、元居た部署から完全に切り離され、元居た部署を裏切る立場での仕事が連日のように続いた。
役員、一緒に仕事した人たち全員(上司、先輩)が最初は敵に見えたが、世の中不思議なもので、きちんと仕事していることが伝わると、こっそり味方になってサポートしていただけるようになった。私の代わりに(自分の手柄とする目的で、組織改正の意思決定を急ぐ)役員に反論するのである。あの時の先輩管理職たちの論法(特に、組合対応専門だった管理職のやんわりと諭すような語り口)はその後の人生において参考になった。
最終的に、元居た部署の上司・先輩たちに裏切られる結果となったが、組織改正の仕事で一緒に仕事をした上司・先輩はその後ずっと私の仕事の理解者、支援者であり続けた。
事業部門を超え、転勤話を持ち掛けていただいた先輩もいた。
世の中わからないものである。