師弟関係について

優れた先人(上司)には弟子みたいな人(部下)が必ず現れる。ジンクスみたいなものだ。
私の場合は、早稲田大学法学部卒雄弁会出身の経理屋がそうだった。


雄弁会の歴史
https://www.yu-ben.com/%e9%9b%84%e5%bc%81%e4%bc%9a%e3%81%ae%e6%ad%b4%e5%8f%b2/


私は理系、技術屋だったが、いわゆる骨太の論理とはどういうものか、技術屋、事務屋を超えた垣根のない付き合いを通じて学んだ。
多くの同僚は、この上司を嫌ったが、私は違う。学ぶべきところがある人だと素直に思った。

そんな私にも弟子入り志願みたいな部下が複数現れた。退職の日に、愛読書を数冊差し上げて別れた。


そういう経験をしているので、師匠が亡くなってもその弟子のまま終わりたいとする、落語の世界の弟子の話を聞いても驚かない。


「円楽の弟子のまま終わらせてください」
https://www.msn.com/ja-jp/news/entertainment/%E6%95%85-%E4%B8%89%E9%81%8A%E4%BA%AD%E5%86%86%E6%A5%BD%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%AE%E5%BC%9F%E5%AD%90-%E6%A5%BD%E3%90%82%E3%81%8C%E5%BB%83%E6%A5%AD%E3%82%92%E7%99%BA%E8%A1%A8-%E5%B8%AB%E5%8C%A0%E3%81%AE%E6%AD%BB%E5%8F%97%E3%81%91-%E5%86%86%E6%A5%BD%E3%81%AE%E5%BC%9F%E5%AD%90%E3%81%AE%E3%81%BE%E3%81%BE%E7%B5%82%E3%82%8F%E3%82%89%E3%81%9B%E3%81%A6%E3%81%8F%E3%81%A0%E3%81%95%E3%81%84/ar-AA15RohQ?ocid=msedgntp&cvid=f7b862137c8d40deb722f95400d87b5c


さて、冒頭で紹介させていただいた上司の仕事の進め方、思考パターンは、外交官OBの岡崎久彦とほとんど同じだった。とにかく公開情報を集め、整理し分析、普遍的なキーワードを集約、絞り込み、シナリオを構築する。骨太の論理とはこのようなプロセスを通じて編み出されるのである。その岡崎久彦にも愛弟子がいた。「歴史の教訓」という本の中で兼原信克は、師弟関係にあったことを認めている。兼原信克を安倍政権時代の官邸に送り込んだのは、岡崎久彦に違いない。兼原信克は外務省出身、(第二次安倍政権時代に採用された)価値観外交の理論構築の分野において日本の第一人者と思う。


渡部昇一の場合は、どうだったか。稲田朋美議員の後援会長だったこともあり、防衛大臣就任を安倍首相に嘆願したような気がする。しかし、残念なことに彼女には閣僚を務めるのに必要となる、あることが不足していた。渡部昇一はそれを見抜き、指導できなかったということになる。


櫻井よしこの場合は、高市早苗と仲良しであることを10年くらい前のテレビ番組で知った。当時の将来の首相候補になりそうな女性議員の序列は、稲田、高市、野田、小渕みたいな感じで目立たなかったが、高市は、安倍首相退任後、安倍元首相に弟子入り、アベノミクスなどについて直接学ぶ機会を得た。櫻井よしこの進言もあり安倍元首相が受け入れた可能性もある。安倍元首相暗殺後、保守層の間で高市支持者が多いのは、安倍元首相の政治的主張を最も理解し、かつ政策立案力、胆力があるからである。
岸田政権において、高市が閑職みたいな扱いを受けているのは正直不満である。岸田批判したくなる原因はそこにある。

人気記事