厳正公正中立 > 愛国保守

タイトルを見て何のことかと思われたかもしれない。

これは内閣官房の立場での話である。厳正公正中立であることが業務遂行の絶対条件である。
現実には、厳正公正中立の立場、視点で調査し検討し、導かれた結論が、保守の言論人、活動家からみて愛国保守かどうでないかという評価を受けることが往々にしてある。

内閣官房の業務実態が如何なるものか、「安全保障戦略」(兼原信克)から引用させていただく。


▽▽▽ 引用開始 ▽▽▽

5 内閣官房は厳正公正中立である

内閣官房は、総理大臣、官房長官直轄の直参旗本軍団である。出向している職員は、出身官庁の代表ではない。皆「お国のために」働いているという意識が強い。総理の下命を果たすのが本来の仕事であり、内閣官房という組織の目的である。各省調整においては、厳正公正中立である。内閣官房は、各省庁からの出向者が多い。副長官補レベルになると、皆、総理大臣官邸に骨を埋める覚悟を持って入ってくる。内閣官房は、各府省庁の調整に関しては、厳正中立な調整を行う。
ところが、親元の出身官庁は、出向者を自分たちの出先だと勘違いしやすい。それは大きな誤りであり。総理官邸は、総理官邸であり、自分の省庁の延長ではないのである。

内閣官房の主は総理であり、官房長官である。総理や官房長官は、国会の動向、選挙、支持率等の世論の動向、裁判所の動向、宮中の動き、さらには景気、株価にまですべて目配りして、政権を運営している。それを支えるのは内閣官房の職員であり、彼らが指示を受けるのは、総理、官房長官、副長官からだけである。

また、副長官補室を中心とする内閣官房調整プロセスは、各省庁が、四つに組んで調整し、力尽きて水入りになった後に、最終決着をつけるために話を持ち込むところである。調整の努力もせずに、いきなり抱きついて、調整を丸投げするところではない。自分で努力しない役所は相手にされない。

△△△ 引用終了 △△△


理想論に近い話だが、安倍晋三が官邸を去る日、安倍晋三を見送った(立ち姿の良い、引き締まった表情の)官僚たちをみて、内閣官房の現実は兼原の指摘どおりではないかと思っている。

安倍首相が官邸を後に
https://www.youtube.com/watch?v=PRd6TNhNZAI

そういう視点で、上記動画は見る価値がある。

よく、「愛国なら政権は〇〇すべきだ。保守なら政権は〇〇すべきだ」と主張する保守の言論人、活動家がおられるが、稟議書的には、厳正公正中立の立場でそのような趣旨の結論が、結果として導かれるに過ぎない。

稟議書に書く決裁理由とは、厳正公正中立シナリオから導き出されるものであることは常識。

私は民間人だが似たような経験をした。毎日毎日、胃が痛くなる3年間だった。

職務的に保守であろうとする必要はない。愛国であろうとする必要もない。私の場合は、政治的に中立、ノンポリであることをひたすら心がけた。そうすることで邪念も迷いも消えた。

経験から言えることだが、厳正公正中立の立場でひたすら真剣に検討した結果が、時として保守的であり愛国的な政策である可能性が高いと言いたい。

厳正公正中立が職務的に何を意味するか、わからない(陳情書や要望書が書けない)言論人、活動家が少なすぎることを残念に思っている。

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