見出しの構成はこうなっている。
▽▽▽ 引用開始 ▽▽▽
第4章 国の政策はなぜ国民に伝わらないのか
構造的要因が
1 官僚はなぜ伝えるのが下手なのか
わざとではない
受験エリートの官僚たち
難解な文章を読むことに慣れすぎて
日本で最も怒られることが嫌いな人たち
客を選べない辛さ
生活者の経験がほとんどない
2 霞が関には国民に伝える仕事はこれまでなかった
かつてはプロだけでつくれた
周知広報は中間組織と自治体の仕事
官僚が伝える相手もプロ
市区町村と住民の距離も広がる
3 大手メディアの機能低下
新聞とテレビを見なくなった国民
4 広報の仕事と役所の意思決定システムの矛盾
幹部ほど広報は下手
幹部に聞いてどうする
△△△ 引用終了 △△△
この見出しの中で敢えて読みたい箇所はあるか。私はほとんどない。そして、この本の内容に賛同できる点が少ない。
一応、改善策についての記述を見つけた。
国会対応部分はなるほどと思う。
▽▽▽ 引用開始 ▽▽▽
実は、国会が開会されていると、霞が関の動きを止めてしまうということを、国会議員たちはよく知っている。
2020年4月、僕は3つの提言を打ち出して、複数の政党の国会議員に、なんとか対応してもらえるようお願いすることを始めた。提言の内容は次のとおりだ。
中略
提言①コロナに関する質問は原則厚生労働委員会と予算委員会に集約すべき。
提言②政党ごとの会議はまとめるべき。少なくとも、与党で1つ、野党は合同ヒアリングに集約するなど。
提言③個別議員の問合せは、衆議院・参議院の調査室などに一元的に議員からの問合せ窓口を作って、ますはそこで受けるべき。
△△△ 引用終了 △△△
ただ、これは、国会と省庁の間の事務処理手続きの話である。著者は国民の側ではなく官僚の視点で本書(第4章 国の政策はなぜ国民に伝わらないのか)を書いているのである。ここに本書の矛盾点がある。
全般的に著者の熱意が伝わってこない、言い換えると、伝えたいことがあるから本を出すのではなく、本を出すことが目的だったのではないか。
書評的には☆☆くらいの出来栄えと思った次第。