不可解な韓国の外交原則

日清・日露戦争時代から起きていることだが、韓国は過去、日本が直面した中露との安全保障問題に関し中立ないしどっちつかずの外交方針を選択した。
現在は、米中の狭間にあって、アメリカが韓国政府に介入しなければ中立もしくは親中ポジションを選ぼうとする。
一体どのような考えでそのような選択に走るのか。
兼原信克の「安全保障戦略」から引用させていただく。


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克服すべき課題③ 米中間での中立志向

第三に、米中間の中立志向である、これはASEAN諸国の中立志向と同根である。また。終戦直後の日本の中立志向とも同根である。「大国間の争いに巻き込まれたくない」という小国の生存本能の発露である。
今日の韓国外交を見ると、米韓同盟を基軸としながらも、中国へも著しく強い配慮を見せる。それは、米国に無制約に振り回されることを拒むと同時に、中国の怒りを買わないようにするという独特の生存本能が働いているからである。
韓国外交は、日本のように米国との同盟によって台頭する中国との戦略的均衡を図るという発想を取らない。むしろ、米韓同盟に深くはまりすぎて、中国を刺激してはならないと考える。

そこには、「自分のような小さな国は、何時、超大国である米国に見捨てられるか分からない」として、米国を信用しきれない小国の悲哀がある。韓国を軽んじるトランプ前大統領の言動は、その恐怖を十分に増幅する。
その故に、韓国では、米韓同盟を補完する日米韓三国安保協力を忌避し、日韓安保協力にも消極となり、同時に、米国を排除した日中韓の枠組みでの協力を熱心に促進して中国の心証を和らげようとする。というよりも、そもそも日米同盟のバックアップなくして、米韓同盟は機能しないという基本的な軍事的現実さえ見えていない。ここから、戦略的には不可解な韓国の二股外交の方向性が出てくる。
また、中国との関係が緊迫し得る台湾有事や、南シナ海の海洋紛争に関しては、韓国は、一貫して「巻き込まれたくない」という強い拒絶反応を見せている。

さらに、韓国は、南北統一問題においてさえ、日米間の戦略敵枠組みを梃にして中国と渡り合おうとするよりも、逆に、中国を刺激しないように、細心の注意を払うという方向にアタマが働いてしまうのである。残念ながら、上述の通り、中国は戦略的理由から北朝鮮を衛星国家化しており、中国こそ、朝鮮半島統一のための最大の障害である。いくら中国に配慮しても、中国が韓国主導の朝鮮半島統一を認めることはあり得ないのだが、その見極めができない。
この韓国外交の中立志向は、大国化した韓国に生まれた若い人たちが政治の中心に着て、戦略敵な思考が成熟するまでは、当分、変わらないであろう。
しかし、利害の異なる大国間で、自らの戦略敵立ち位置を決めない全方位外交は、20世紀初頭の朝鮮王朝の例を引くまでもなく、本来、非常に危険な外交である。韓国のような大国がふらふらすれば、地域は不安定化する。そのような韓国外交は、むしろ米国の太平洋同盟網の力を殺ぐことになり、結局は韓国の利益にならない。

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さすが、官僚出身の言論人と思った。官僚経験なき言論人でここまで精緻に書ける人はいない気がする。官僚の作文は一読すると味気ないが、官界の稟議書の添付書類にできるほど文章的に整っている。

著者は「中立」と書いたが、実態は二股外交である。
おまけに、日本に対しては、何かにつけて譲歩を求める対応を続けてきている。一度譲歩すると、別の口実を利用して、更なる譲歩を求める、、、その繰り返しである。

【徴用工】韓国外相「日本に『誠意ある呼応』に向けた政治的決断を求めた」 日韓外相会談
https://hosyusokuhou.jp/archives/48942186.html

韓国ユン駐日大使「徴用工問題は正念場。春には解決できるよう望む」
https://hosyusokuhou.jp/archives/48942453.html

対等の立場での外交関係であり続ける限り、韓国は外交的に煩わしい国となる。マトモに相手する国でもない。安倍政権時代の外交対応で十分なのである。
日本が富国強兵化しない限り、力づくで押さえることは不可能な相手と思った方がいい。

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