まず設計責任から述べたい。
設計責任というと、強度設計の手抜きをやった姉歯事件が有名であるが、本件については、計画設計、実施設計すべての段階においていくつか致命的問題が発生していることが判明した。
そこで、設計者の責任が問える法律として建築士法がある。
建築士法においては、建築士法第10条の規定に基づき、国交省が処分を下すケースがある。建築基準法では建築設備についても定義がある関係で、不誠実な設計業務を実施したことが証明されれば設計事務所等の設計者の設計責任を追及できそうである。
実際、本件では、設備上の問題発生時に対策可能なレイアウト設計となっておらず、実際の運転状態値について設計者としての把握が十分ではなかった。設計上のミスが発生している。
建築士法 第十条懲戒
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC1000000202
次に、実施設計、施工を担当する工事会社の施工責任について述べたい。
実は、建設業法という法律において、公衆災害、不誠実な行為、一括下請け、技術者の施工管理が著しく不適当という条項が存在する。
本件については、相当規模の被害が発生しているため公衆災害である。かつ下請けに丸投げした事案と見受けられる。さらに、設備引き渡し時の異常の有無等の現場確認・報告等が為された形跡がないため不適当な施工管理状態にある。よって、建設業法上の懲戒処分を要望することが可能と判断される。
▽▽▽ 引用開始 ▽▽▽
https://www.mlit.go.jp/common/001156519.pdf
建設業法の処分規定等
○ 建設業者に対する処分規定【法第28条~第29条の2】
①指示 :公衆災害、不誠実な行為、他の法令違反、一括下請負、技術者の施工管理が著しく
不適当、無許可業者との下請契約、営業停止の者との下請契約 等
②営業の停止 :上記に該当する場合のほか、指示に従わない場合
③許可の取消し:許可基準を満たさなくなった場合、欠格要件等への該当、不正手段による許可、営業停止違反 等
△△△ 引用終了 △△△
被害実態的に、設計・施工どちらにも問題が発生している。
設計事務所の場合は設計ミス、工事会社については単純なミスとは言えない。
相当規模の被害が発生しているため、なあなあでの対応で済ませるつもりはない。引続き、しかるべき措置の実施、それが無理なら徹底した再発防止対策の実現を検討したいと思っているところである。