イギリスの上流階級≠DS?

DSは欧米各国に蔓延る悪の巣窟のように言われている。

イギリスの場合はどうだろうか?

ここで述べるイギリスの上流階級とは、伝統的上流階級のことである。
新井潤美「ノブレス・オブリージュ イギリスの上流階級」から、伝統的上流階級の政治的影響力の低下について述べた箇所がある。

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はじめに

イギリスの歴史家ローレンス・ジェイムズはその著書『貴族たちー権力、優雅さとデカダンス』(二〇〇九年)の序文に次のように書いている。

彼らは憲法を作り、法律制度を作り、陸軍と海軍を統治した。自分達の美意識に合うように、そして狐狩りへの情熱を満たすために風景を造りかえた。最近までは、彼らが国民の趣味を形づくり、彼らの礼儀作法が社会全体の行動の規範を作り上げていた。

ジェイムスはここで「貴族」(aristocrats)という言葉を使っているが、イギリスの「アッパー・クラス」(upper class)、あるいはnobilityと言われる階級は、爵位のある貴族だけでなく、「ジェントリ」と呼ばれる地主をも含む。爵位は政治的な目的等から新たに君主が授与することができるほか、経済的に成功したものが実質的い爵位を「買う」ことも可能なため、爵位を持っているからといって、必ずしも古い家柄の出であるわけはないのだ。

中略

歴史学者グレゴリー・D・フイリップスは著書『頑固な抵抗者』の中で、アッパー・クラスのイメージについて次のように書いている。

同時代[十九世紀後半から二十世紀前半]の文筆家たちはアッパー・クラスの人々に多くの資質を与えてきた。エキセントリックであること、知的生き方文庫でないこと、義務感などである。しかし最も彼らが頻繁に触れてきたのは冷静さと自信かもしれない。

中略

「使用人」と違って、イギリスのアッパー・クラスは、その権力、存在感、富が依然とは比べものにならないほど小さくなった今でも「例外ももちろん少なくないが)、間違いなく存在している。以前のように「爵位がある」「アッパー・クラスである」というだけでマスコミにその行動を取り上げられることはなくなっても、大部分のイギリス人にとって、彼らと接する機会がほとんどなくなっても、彼らはイギリスを語る上できわめて重要な部分なのだ。

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イギリスの場合は、DSと言われる人たちが間違いなく存在していると考えられるものの、伝統的上流階級が歴史的に没落した経緯がある関係で、消去法的発想となるが、シテイでビジネス活動する金融分野の関係者の中にDSと言われる人たちが生息していると考えられるのである。

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