所得水準的に優遇された人たちの退職金課税強化は当然

岸田首相は就任以降増税マターの発言が多い。そのせいで一時的に株価が乱高下したことがあった。

今になって岸田首相は、財務省の言う通りにするつもりないとしているが、本心がそうとは思えない。


首相、成長と財政追う 「財務省の言う通りにするつもりない」
https://www.sankei.com/article/20230710-YCJLVKK44FPVDPRKHBFJCL3MOA/


一例として退職金増税をあげたい。取り方によっては岸田首相は普通の定年退職者からも税金をさらにかすめ取る方針のようだ。


岸田政権、今度は〝退職金増税〟勤続20年以上が標的!?「いまになって長期で安定した働き方否定…倫理的にも問題」識者
https://www.msn.com/ja-jp/money/other/%E5%B2%B8%E7%94%B0%E6%94%BF%E6%A8%A9-%E4%BB%8A%E5%BA%A6%E3%81%AF-%E9%80%80%E8%81%B7%E9%87%91%E5%A2%97%E7%A8%8E-%E5%8B%A4%E7%B6%9A%EF%BC%92%EF%BC%90%E5%B9%B4%E4%BB%A5%E4%B8%8A%E3%81%8C%E6%A8%99%E7%9A%84-%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E9%95%B7%E6%9C%9F%E3%81%A7%E5%AE%89%E5%AE%9A%E3%81%97%E3%81%9F%E5%83%8D%E3%81%8D%E6%96%B9%E5%90%A6%E5%AE%9A-%E5%80%AB%E7%90%86%E7%9A%84%E3%81%AB%E3%82%82%E5%95%8F%E9%A1%8C-%E8%AD%98%E8%80%85/ar-AA1dx1LR


たとえば、高額退職金を得る人について、どう扱うべきか。私見として四つのパターンを以下に示す。

①5000万以上の高額退職金を得る定年退職者(中央省庁等、民間人)
②天下り退職者(官庁)
③渡り鳥のように何度も退職金を得る人たち(官僚、民間人)
④割り増し退職金を得る早期退職者(民間人)

この中で、納税者からみて退職金増税について反対意見が少ないのは、①、②、③である。

①については、裁判官(特に最高裁)、検事、高級官僚、生え抜きのNHK職員の退職金が高額であろうと推定する。民間は役員とならない限り、左程ではないが所得水準的には優遇されている。

②については、国家公務員の(定年前の)天下りだけが問題視される傾向にあるが、地方公務員の幹部職の定年退職後の許認可・官庁工事受注企業への天下りを加えると天下り公務員の数は無視できない。
天下りの定義については、国家公務員の場合は定年前の(斡旋による)再就職を天下りとして定義してきた。地方公務員の場合は、定年退職後の公務員の立場を利用した許認可・官庁工事受注企業への再就職が多数存在する。斡旋による再就職、許認可企業、官庁工事受注企業への再就職は、国家公務員、地方公務員どちらも、定年前、定年退職時を問わず、天下りとして扱うべきと思う。

③については、官僚については公益法人等の渡り鳥出向後の退職金、民間人については社外取締役を想定している。極論となるが、少なくとも団体収入の大半が補助金である、公益法人役員が二度目の退職金を受け取る場合(身分的に現役公務員の場合、公務員の定年退職者の場合)、当該退職金について全額課税すべきと思っている。

④については、割り増し退職金が退職後の家計維持のために資金とみられるため、一律課税強化方式での退職金増税は、反発を生む。

以上総合すると、裁判官、検事、高級官僚、生え抜きのNHK職員の高額退職金、天下り退職金、二度目以降の公務員出身者の退職金、公益法人役員(一度目に高額退職金を得た人)を狙い撃ちにした退職金増税なら私は反対しない。

財務省は、税負担が公平であるか否かの視点で課税強化を検討している傾向がある。が、所得水準的に恵まれた人たち、既得権的な天下りについまで公平な税負担の視点で議論する必要はない。特に、天下りの退職金(二度目以降)については、懲罰的な課税率とすべきと考える。

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