省エネ機器「ガスヒートポンプ」仕様のカラクリ

省エネ機器ガスヒートポンプ設置により騒音公害が全国各地で発生、泣き寝入りさせられる地区が続出している。

この種の設備の騒音被害として、①簡便な騒音測定器で測定されるdb値で測定される環境基準値以上の騒音と②主に室内で知覚されるいわゆる低周波騒音が挙げられる。

本稿では、騒音測定器で測定され耳で煩いと感じる騒音が環境基準値を超えるなどの、騒音公害現象がなぜ起きるかに関し、メーカー、工事会社連携した汚い手口を紹介させていただく。(低周波騒音公害については本稿とは別に出稿予定)

プラント機器の場合、メーカー側は機器、仕様等について、定格値で示すことが取引上の慣例となっている。従って、カタログ、仕様書等に掲載される数値は、すべての事項にいついて、特にことわりがない限り定格値となる。

どんなことがが起きているか。簡単に状況説明させていただく。


①ガスヒートポンプは騒音規制法の規制対象外設備
②環境基準値上限レベルで工事会社は機種選定
③ところが、カタログ上で紹介された数値は、定格値
④定格値で示すということは、物理的に運用上は定格よりも上の負荷で運転することができることを意味する
⑤住民説明の際に、メーカーないし施工会社は、カタログ上の数値(定格値)の設備であると室外機仕様(騒音値)紹介する(実際に、とあるメーカーのガスヒートポンプのカタログを見ると、定格騒音値は、55~65dbのレンジに集中)
⑥実際の運転状態値は、冬季等暖房用途で使用される場合、暖房MAXモードでの運転状態となる。(メーカー、工事会社は被害者住民に対しそのことをなぜか説明しようとしない)
⑦数値的には、どうなっているか。メーカー騒音測定に立会確認した際の数値となるが暖房MAXモードでの騒音値は、暖房定格値よりも5db前後高くなった。定格値よりも15db以上の騒音値となったこともあった。


実際にガスヒートポンプ騒音公害発生地点で起きた現象である。

一言で言うと、ガスヒートポンプは、(定格値を上限とするリミッター運転としない限り)運転実態としてカタログで示される定格騒音値よりも5~20db多く騒音発生する設備である。

ここで、騒音に係る環境基準を参照したい。

▽▽▽ 引用開始 ▽▽▽

https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/noise/noise_vibration/environmentstandards/noise.html
町村区域に適用される 騒音に係る環境基準

東京都町村環境基準.jpg


△△△ 引用終了 △△△

昼間の環境基準55~60db地域においては、当該メーカー品は、防音壁等設置ない場合、暖房MAXモードで室外機周辺で冬季に70dbを超える騒音値となるはずである。

防音壁設置ない状態では、地域住民からガスヒートポンプは騒音公害設備として認識されることは必至なるはずである。

これが、(簡便な騒音測定器で立証可能な)ガスヒートポンプ騒音公害の実相である。ガスヒートポンプについては、通常騒音以外に低周波騒音も発生する。低周波騒音は、工事設計上、施工管理上の手抜きで発生することが知られている。


では、どうすべきかということになる。
三つ提言したい。

・ガスヒートポンプについて、一律騒音規制法規制対象外とせず、住宅地(昼間の環境基準値55~60db地域)について、騒音規制法規制対象とする
・住宅地に設置された、定格状態以上の負荷条件で運転されるガスヒートポンプについて、例外なく防音壁設置を義務付ける(防音壁設置状態によるが、防音壁は概ね15db前後の騒音低減効果があるとされる)
・ガスヒートポンプについて騒音規制法対象外設備として扱う場合、メーカーカタログ等にて負荷最大運転時の騒音最大値の表示を義務付ける(製品表示については消費者庁所管?)

要するに、メーカー、工事会社は、カタログ上の数値がすべて定格値であることを知りつつ、騒音被害を受けた住民に対し定格以上の負荷で(負荷最大で)運転継続してきた設備であることを隠し、業界団体から表彰され、最先端の省エネ機器であると喧伝しつつ、被害者住民に対し文句を言わせず忍従させる「汚いカラクリ」が各地でまかり通っている。

ガスヒートポンプは、定格条件を超える頻繁な運転実態を知るならば、防音壁設置前提できちんと工事設計しないと、確実に騒音公害発生する「とんでもない省エネ機器」なのである。

自民党女性研修に参加された議員に対しては、下手に弁明するくらいなら、このような不条理な事案の解決、再発防止のために、率先して取り組まれることを期待する次第。

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