・当初中韓が反対する中、日韓首脳会談を通じて、韓国の専門家来日を招請、韓国政府の切り崩しに成功(3月16日)
・中国海洋放出のトリチウム濃度が高いことを読売が報道(6月23日)
・IAEA事務局長に来日いただき、日本が計画している海洋放出の技術的妥当性について発言いただいた(7月4日)
・アメリカの国務長官に、日本が計画している海洋放出の技術的妥当性について発言いただいた(8月16日)
・首相、大臣と漁連代表との会見(8月21日)
・海洋放出について政府が関係閣議会議で決定(8月22日)
これらのシナリオを描きつつ、裏方で個々に対応要請したのは、間違いなく官邸(スタッフ)であろう。
なぜなら、最終意思決定として閣議決定案件として処理したからである。漁連代表への二つの首相発言(「国として海洋放出を行う以上は、廃炉および処理水放出を安全に完遂し、漁業者が安心してなりわいを継続できるよう必要な対策を取り続ける」、「必要な予算措置について、たとえ今後数十年の長期にわたろうとも政府全体で責任を持って対応する」)もその証左となる。
ただ、何かにつけて対米自立すべきとの見解を示される傾向がある、保守の論客は、最終的にアメリカ政府のお墨付きを得て実現した今回の対応プロセスについてどう評価するのか。
中韓の原発の海洋放出を、外交上日本政府が問題視せず、日本が放出する際、中国政府の意向を気にして、アメリカ政府のお墨付きを得たことは「対米自立」とは明らかに言えない。
事務手続き上は駐日アメリカ大使を経由したと考えるのが自然。
この状態が続くと、アメリカからみて日本政府はたかりやすい国になる。
LGBT法案で駐日アメリカ大使が内政干渉しやすい外交情勢になったことを忘れたのか。(と言いたい)
中国政府の意向を過度に意識するあまり、中国政府が日本批判すればするほど対米依存は当面続く。
言い換えると、対中国貿易額が対米と同程度かそれ以上である限り、日本は中米に挟まれた小国みたいな振る舞いを余儀なくされる。
アメリカ政府は、日本を手なずける目的で中国政府に日本批判させることを思いつくはずだ。いや、すでに(靖国参拝案件等で)実行中かもしれない、、、
保守の論客は、何かにつけて対米自立指向であるべきと語る。
しかし、優先されるべきは対中依存からの脱却ではないのか。
対中依存をやめない限り、中国の干渉は続き、その干渉を排除しようとすればするほどアメリカの支援をあおぐこととなり対米自立はできない。対米依存は続くのである。
東電福島原発処理水の海洋放出の件は、そのプロセスから対米依存無しで実現できなかったことを私は深刻に受け止めざるを得ないのである。