エネルギー関連予算 NEDO肥大化の問題

政府は、10月からガソリン補助金制度を拡充するとしている。しかし、納税者からみると、エネルギー価格高騰に備えてあれだけガソリン等に課税しておいて、臨時予算で対応するのは納税者を馬鹿にしている。
ガソリン価格高騰に備えるとするなら、本筋は、電力会社に課したような渇水準備金制度であるべきで、湯水のように、新エネ、省エネ機器の技術開発に投入しす過ぎたと私はみている。


ガソリン補助金新制度開始 10月にはもう一段拡充
https://www.sankei.com/article/20230907-IHSYXTEGQBPKJNX6BZC4AVF6OY/


さて、NEDOは通産省において、特にエネルギー関連予算(補助金)分野の大口支出先となっている。
そこで、NEDOについて、組織機能として肥大化、巨額の基金、二つの切り口で情報整理してみた。


■肥大化するNEDOの問題

そもそもNEDO予算は、設立当初は新エネ開発予算に限定されていたはずである。エネルギー価格高騰に備えて支出された巨額の補助金を投入した成果はあったのか?

https://www.nedo.go.jp/index.html

太陽光発電のために再エネ賦課金制度が導入された時点で、NEDOが係わる新エネ補助金予算は半分でもよかったのではないか。NEDOが関与して、太陽光発電の原価はいくら下がったのか。太陽光発電による高い発電コストを今後も庶民が負担すべきなら、NEDO事業そのものを大幅に縮小させるべきではなかったのか。

そのNEDOは関与する技術領域をどんどん拡大している。
バイオテクノロジーあたりは他省庁移管でもかまわない気がする。半導体分野までNEDOが係わることについては明らかにやり過ぎ。

私は、省エネ、新エネ絡みの補助金を否定しているのではない。過去に遡り、補助金支給はすべて半分でも技術開発成果(庶民が支払う電気代、ガソリン代)は変わりがなかったのではないか。


▽▽▽ 引用開始 ▽▽▽

NEDOが次世代パワー半導体などに1376億円、ロームや東芝が開発
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/12314/

https://green-innovation.nedo.go.jp/feature/to-business/

グリーンイノベーション基金とは

2020年10月、日本は「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする目標を掲げました。
この宣言を踏まえ、経済と環境の好循環につなげるための日本の新たな成長戦略として、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」が策定され、企業の野心的な挑戦を後押しすべく、過去に例のない2兆円の「グリーンイノベーション基金」がNEDOに創設されました。 今回は、このグリーンイノベーション基金についてご紹介します。

https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/gifund/index.html

グリーンイノベーション基金

1. 概要
2050年カーボンニュートラル目標に向けて、令和2年度第3次補正予算において2兆円の「グリーンイノベーション基金」(以下「基金」という。)を国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に造成しました。本基金では、「経済と環境の好循環」を作っていく産業政策であるグリーン成長戦略において実行計画を策定している重点分野のうち、特に政策効果が大きく、社会実装までを見据えて長期間の取組が必要な領域にて、具体的な目標とその達成に向けた取り組みへのコミットメントを示す企業等を対象として、10年間、研究開発・実証から社会実装までを継続して支援していきます。

△△△ 引用終了 △△△



■巨額基金を運営するNEDO


通常予算は、1000億前後のようだが、基金(大半が税金)により運営される予算が数兆円規模に達している。グリーンイノベ―ション基金事業の基金が3兆円弱となっている。グリーンイノベ―ションに集中的に予算投下したいなら、他の予算を削る、、、という発想が、経済産業省にあったのか。

▽▽▽ 引用開始 ▽▽▽

https://www.nedo.go.jp/introducing/yosan.html

NEDOの予算(2023年度当初予算)
技術シーズの発掘から中長期的プロジェクトの推進、 実用化開発の支援まで、一貫した技術開発マネジメントにより、エネルギー・環境問題の解決、産業技術力の強化を目指します。

主な事業を掲載しているため、予算総額と内訳の合計は一致しません。
エネルギーシステム分野(560億円)
【技術内容】
● 系統対策技術
● 蓄電池等のエネルギー貯蔵技術
● 水素の製造から貯蔵・輸送利用に関する技術
● 再生可能エネルギー技術 等
省エネルギー・環境分野(424億円)
【技術内容】
● 革新的な省エネルギー技術
● 環境調和型プロセス技術
● 高効率石炭火力発電技術開発
● 二酸化炭素回収・有効利用・貯留技術
● フロン対策技術
● 資源選別・金属精錬技術等の3R技術
● 国際実証、JCM 等
産業技術分野(377億円)
【技術内容】
● ロボット・AI技術
● IoT/電子・情報技術
● ものづくり技術
● 材料・ナノテクノロジー
● バイオエコノミー 等
新産業創出・シーズ発掘等分野(91億円)
【技術内容】
● 研究開発型スタートアップの育成
● オープンイノベーションの推進 等

上記の他、以下の事業を基金により実施。
● ムーンショット型研究開発事業261億円
● ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業7,950億円
● グリーンイノベ―ション基金事業2兆7,564億円
● 経済安全保障重要技術育成プログラム事業2,500億円
● 特定半導体の生産施設整備等の助成業務1兆670億円
● 安定供給確保支援基金事業8,288億円
● バイオものづくり革命推進事業3,000億円
● ディープテック・スタートアップ支援事業1,000億円
最終更新日:2023年8月8日

△△△ 引用終了 △△△

■本稿まとめ

一言で言うとNEDOはあまりに肥大化している。
エネルギー予算で、経済産業省管轄の天下りが激増、貴族化している可能性大である。

一方で、庶民が負担する電気代、再エネ賦課金、ガソリン代はどんどん増えている。

何のための新エネ開発、省エネ機器開発のための補助金だったのか。エネルギー予算に無駄がなかったのか、考え直す時にきている。

ひょっとすると、エネルギー予算は、大手メーカーが自ら支出すべき研究開発費を補助金で賄う、そのために大量の天下りを受け入れるという交換条件の元で、支出されてきたのかもしれないと思いつつあるところである。

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