まず最初に、「安倍晋三回顧録」にて財務省についてどう書かれているのか、一読したい。
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310頁~313頁
安倍政権を倒そうとした財務省との暗闘
2018年10月15日の臨時閣議で、消費税率を19年10月1日に8%から10%に引き上げる方針を正式に決めました。
中略
財務官僚は、私が増税見送りを表明する直前の11月、私が外遊から帰国する際の政府専用機に、麻生副総理兼財務相に同乗してもらって、私を説得しようとしたわけです。しかしその機内で7~9月期の速報値が判明し、「とてもじゃないが増税できない」と私が麻生さんんに説明し、納得してもらったわけです。
この時、財務官僚は、麻生さんによる説得という手段に加えて、谷垣禎一幹事長を担いで安倍政権批判を展開し、私を引きずり下ろそうと画策したのです。前述しましたが、彼らは省益のためなら政権を倒すことも辞さない。谷垣さんは12年に一体改革の合意を決めた当時の総裁だったし、「合意を守るべきだ」と谷垣さんに言ってもらおうと、谷垣さんは財務省経験者だし、主張は増税派に近い。けれども、財務省の謀略には乗らなかったのです。政治の不安定化を招くようなことを嫌ったのだと思います。
二度目の増税延期を決める前の15年に、生活必需品などの税率を低くする軽減税率の導入を巡って、財務省はまた策を弄しました。
公明党が14年の衆院選挙公約で、軽減税率導入を掲げていたので、実現はやむを得ないと判断していたのでしょうが、財務省は軽減額をできるだけ小さくしたかった。与党協議が秋から冬に行われて、公明党は、痛税感の緩和と景気への配慮から「酒類を除く飲食料品」などを対象に軽減額を1兆3000億円に、と主張していたのです。
一方、財務省は自民党の財政再建派の議員と組んで、まず4000億円の範囲で対象品目を絞ると掲げ、結局、5000億円を落としどころにして決着させようとしました。
この財務省の手法に、菅義偉官房長官が激怒したのです。そして公明党の主張をおおむね呑んで、1兆円規模に引き上げました。この時も財務省の抵抗はすさまじかった。
官邸内では、14年の財務省の謀略は夏に始まっていたので「夏の陣」、冬に決着した15年の軽減税率を巡る運動を「冬の陣」と呼んで、財務省は怖い、という話をしていました。
中略
田中角栄や竹下登など歴代の首相は、旧大蔵省と良好な関係を築いて政権を運営してきました。首相が大蔵省を使っているのか、大蔵省に使われているのか分かりにくい面もありましたが、安倍内閣は、財務省との関係では異質でした。
私も、第1次内閣の時は、財務官僚の言うことを結構尊重していました。でも、第2次内閣になって、彼らの言う通りにやる必要はないと考えるようになりました。だって、デフレ下における増税は、政策として間違っている。ことさら財務省を悪玉にするつもりはないけれど、彼らは、税収の増減を記にしているだけで、実体経済を考えていません。
財務省は常に霞が関のチャンピオンだったわけです。ところが安倍政権では、経済産業出身の今井政務秘書官が力を持っていた。財務省にとっては、不愉快だったと思いますよ。
財務省の幹部は、参院のドンと言われた青木幹雄元参院幹事長や、公明党の支持母体である創価学会幹部のもとを頻繁に訪れて、安倍政権の先行きを話し合っていたようです。そして内閣支持率が落ちると、財務官僚は、自分たちが主導する新政権の準備を始めるわけです。「目先の政権維持しか興味がない政治家はおろかだ。やはり国の財政をあずかっている自分たちが、一番偉い」という考え方なのでしょうね。国が滅びても、財政規律が保たれてさえいれば、満足なんです。
中略
財務省と、党の財政再建派議員がタッグを組んで、「安倍おろし」を仕掛けることを警戒していたから、増税先送りの判断は、必ず選挙とセットだったのです。そうでなければ倒されていたかもしれません。
私は密かに疑っているのですが、森友学園の国有地売却問題は、私の足を掬うための財務省の尺略の可能性がゼロではない。財務省は当初から森友側との土地取引が深刻な問題だと分かっていたはずなのです。でも、私の元には、土地取引の交渉記録など資料は届けられませんでした。森友問題は、マスコミの報道で初めて知ることが多かったのです。
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第二次安倍政権が財務省との対抗上駆使した手段が二つあることがわかる。
・増税先送り判断は、必ず選挙とセットとすること
・政務秘書官に経済産業省職員を選んだ
現時点で内政的に財務省の影響力が突出しているため、安倍晋三並みの実力派首相が現れない前提で考えると、財務官僚の力を削ぐ手段を追加する必要がある。
私案として4項目挙げたい。
・財務省監視目的の横断的組織(議員~保守系団体)の設置(指令塔は高橋洋一)
・財務省天下り批判する保守系団体の確保
・財務省ベッタリ議員批判する保守系団体の確保
・財務省職員による逆レク禁止(上記監視活動と連携)
・財務省職員のマスコミ接触禁止(上記監視活動と連携)
これだけ財務省が悪影響を及ぼしていることを憂慮するなら、その本丸を●●せずして、他の懸案は抜本解決するはずがないと考えたい。