謀略の真実

宮崎正弘のメルマガ読者投稿欄にて読むことができる「費府の飛行士」氏からの情報が最も真実に近いと判断したので、最近のもの5件をそのまま転載させていただく。

アメリカ史研究の参考となりうる情報と思う。

特に重要な箇所は、サックスとカールソンの対談部分。

▽▽▽ 引用開始 ▽▽▽   

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 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和六年(2024)6月1日(土曜日)
        通巻第8273号  
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(読者の声2)行き過ぎた左翼政策/全体主義政策への地道な反撃がアメリカで起きつつある
 アメリカの大都市は殆ど民主党のしかも極左とも呼ぶべき人々の牙城となり、好き放題の政策をやってきたところが多い。そして楽園都市を名乗り、不法移民様優遇、衣食住を市民の税金で賄い、犯罪者でもウェルカムだ。
警察が苦労して強姦犯、強盗犯を逮捕してもそれが不法移民と分かれば市の上層部からの命令で容疑者を解放し罪に問わないキャッチ&リリースである。
その容疑者は再犯を重ね、また仮に逮捕されても以下同文。それに加えてBLMの頃から 「Defund Police」(警察予算を減らせ)の掛け声で警官を大幅に減少させ、警官の士気は減退あるいは退職し他の場所に転職。治安状態はますます悪化と言うのが珍しく無くなった。大学や会社などではDEIが金科玉条であるかの如く推進された時期があったがそれが見直されつつある。
DEIはDiversity 多様性、Equity 公正性、Inclusion 包括性と訳されているが、その本質はDiversity:自分達を差別するな、Equity :自分達にもあなたがたと同じ分前をよこせ、Inclusion :自分達を仲間に入れろ、自分達は適応努力はせずに、相手に対して要求ばかりするところに特徴があると言われている。
それらに対する地道な反撃が各所で始まりつつある。
1 テキサス州都オースチン市郊外の裕福な地区が住民投票により市からの分離独立を決定。 
https://www.dailymail.co.uk/news/texas/article-13421905/texas-austin-secession-vote-lost-creek-crime.html?utm_
  治安悪化を嫌いオースチン氏から分離独立。非版の警官を雇い入れパトロールさせるとのこと。
2 オレゴン州のクルック郡が十三番目のアイダホ州との合併推進賛成郡となった。 https://greateridaho.org/view/68?utm
 オレゴン州の行き過ぎた左翼政策に嫌気をさした住民が東に隣接するアイダホ州への編入を次々に住民投票で決議しており、その郡の数は十三に達した。隣のアイダホ州の下院は2023年に州境の変更に関する協議を歓迎する決議をしており、今後具体的な協議に入るものと見られている。
3 ノースカロライナ州立大学の評議会が傘下17キャンパスでのDEI方針を変更、旗艦校であるチャペルヒルでの評議会決定に続き
https://justthenews.com/nation/states/center-square/diversity-policy-changed-17-campus-unc-system?utm
 今週、ノースカロライナ州立大学の評議会が傘下17キャンパスでのDEI方針を変更した。旗艦校であるチャペルヒルでの評議会決定に続いてのこと。その理由を聞けば、その本質の理解につながるかもしれない。
 「我が大学では議論を活発に行うことは大いに奨励する。いろいろな意見を出し合うことでその議論が深まり、建設的な議論に繋がる。だが、わが大学が特定の党派的な色を強く出した主張をしている大学と認識されるとその機能を果たせなくなる。」
4 患者へのイベルメクチン投与を拒否し患者が死亡した病院が訴えられた。病院側は免責で訴訟の対象にならないと主張したが退けられた。
https://www.theepochtimes.com/us/court-allows-lawsuit-over-refusal-to-give-dying-woman-ivermectin-to-proceed-5653315
医者が処方し、患者の症状が改善していたのに病院側の方針変更で投与が拒否され、裁判所の投与命令を拒否した後患者が死亡したケース。今後、法廷で裁判が続けられることになる。

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タッカー・カールソン/ジェフリー・サックス教授インタビュー(要約/抄訳その1改訂)
冷戦、CIAが世界中で仕掛けたクーデター、COVID(今回のコロナ)の起源などに関する報道されてこなかった歴史
https://tuckercarlson.com/tucker-show-jeffrey-sachs
● ロシアのウクライナ侵攻はアメリカがロシアとの約束を反故にしたことと30年に亘る挑発の結果。ウクライナ(アメリカ)/ロシア戦争の開始は2014年2月
 挑発の始まりは、30年前にアメリカ政府がウクライナをアメリカ側に付けると言い出したことだ。アメリカは何でも好きなようにやりたいことができる。ウクライナとロシアとの2100kmの国境にNATOもミサイルも設置できるし、軍も駐屯できる。
 なぜなら我々は世界に唯一のスーパーパワー大国であり好きなようにやれるからだ、というのがネオコン連中の傲慢な考えだった。
 この考えは実は170年前にイギリスが同様に思ったことに遡る。ロシアの黒海沿岸地域を包囲すればロシアは何もできなくなる。その考えに基づいて行われたのが1853~1856年のクリミア戦争だ。
 イギリスが教えてくれたことは、ロシアは中東や地中海への出口が必要だが、黒海を押さえて仕舞えばロシアは2~3流の国になる。
 黒海沿岸諸国にNATOを拡大しロシアを封じ込めてしまおうとブレジンスキーが1997年に書いた。当時NATOであったトルコに加え、ルーマニア、ブルガリア、ウクライナ、グルジアも加えようと。もはや北大西洋の名前は関係なくなった。
 その目的ははっきりしている。ユーラシア大陸での覇権だ。西欧から東アジアまでの覇権の確立だ。
 過去30年、アメリカの戦略家は皆同様の考えを持っていた。ブレジンスキーは節度があったがネオコンはもっと過激だった。
 ネオコンの考え方は、アメリカは世界のどの国からも挑戦されることのない唯一の超大国であり続けなければならない、世界中のどの地域においてもそうだ。それが世界の警察官であるアメリカの責任だとまで言っていた。世界中で起こる戦争にいつでも対応の準備をしておくべきだと。
 私にはそれは気が狂った考えと思えたが彼らはそれを公言していた。
 それに対しロシアはNATOの拡大はしないと約束していたじゃないか、それだけはやめてくれと懇願したがアメリカは聞く耳を持たなかった。私自身がそれらの会談に同席していたからこれは直接聞いたことだ。
 これらについては1990年台のアメリカ政権の中で散々議論されてきたことだ。アメリカはゴルバチョフやエリツインに対し、NATOは1インチも東方に拡大しないと約束したからそれはまずいという意見に対しては、ソ連が崩壊して今やアメリカが唯一の超大国になったのだからアメリカの好きな様に何でもできる、という考えがクリントン政権のオールブライト国務長官一派だった。クリントンは柱がない人だったのでその考えに乗ってしまった。
 当時の偉大な外交官であったジョージ・ケナンは、そんなことをすればアメリカの外交政策上考えうる最大の間違いを起こすことになると猛反対した。ペリー国防長官も進退を懸けて大反対したがオールブライト国務長官一派に押し切られてしまった。
 そしてハンガリー、ポーランド、チェコなどを第一波の加盟国とした。
 ロシアはびっくり仰天しこう言った。我々が戦争に負けて冷戦が終わったわけではない。我々は今後は平和な世界にしようじゃないか、お互いに協力しようじゃないか、と言って自発的にソ連を解体し、ワルシャワ条約機構も解体した。そしてアメリカはNATOは1インチも東方へは拡大しないと言ったじゃないか、我々は戦争ではなくお互いに協力したいのだ、欧州諸国、中東、アジア諸国とも普通の関係を持ちたいのだ、と。
このことは当時の会談に私が同席していたのではっきり言える。
 それに対するアメリカの態度はと言えば、あなたの言い分は聞いたが、アメリカがどうするかは自分で決める。あなた方はアメリカが命令する通りにすれば良い、という極めて傲慢な態度だった。
 2000年になりプーチンが大統領になったが、プーチンは親西欧でありお互いの協力への意気込みがあった。これも私は会談に同席していたので直接知っている。親米でもあった。アメリカはそのことも、アメリカが挑発をし続けてきたことも決して認めようとしないがこれらは事実だ。政府が伝えることも主要メディアが伝えることも嘘だらけだ。
 2007年にプーチン大統領がミュンヘン安全保障会議で極めて説得力のある、正確で明確な演説を行った。
 「1990年台にはNATOは拡大しないとゴルバチョフ大統領に約束した。エリツイン大統領にも約束した。でもあなた方はそれを欺いた。しかも繰り返し繰り返し欺いた。
しかもそんな約束をしたことすら認めようとしないが、その約束は我が国の公文書館の何千ページもの文書に残されている。ウクライナをNATOに加盟させようなんて考えることさえしないでくれ。ウクライナはロシアと2100kmの国境を接するロシアとの相互に密接な関係のある国だ。そこにNATO軍が来るということはロシアにとっての死活問題だ。」
 欧州の他の首脳のアメリカに対する反応もプーチンと同様であった。ウクライナをNATOに加盟させるなんてことは検討すらしないでくれ。それは悪い考えだ。バーンズ現CIA長官が駐露大使だった頃コンドリーサ・ライス国務長官とホワイトハウスに極秘書簡を送っている。ウクライナはロシアにとって決して超えてはならないレッドラインだ、核戦争、第三次世界大戦を招きかねない、決してウクライナのNATO加入を推進してはならない。しかもこれはプーチン個人だけの問題ではなく、ロシアの政界全てが同様に認識していることだ、と。(続く)
(費府の飛行士)


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 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和六年(2024)6月4日(火曜日)
      通巻第8277号   <前日発行>
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(読者の声1)冷戦、CIAが世界中で仕掛けたクーデター、COVID(今回のコロナ)の起源などに関する報道されてこなかった歴史
https://tuckercarlson.com/tucker-show-jeffrey-sachs
  (その1改訂から続く)
● 何故アメリカはウクライナのNATO加入を推進したのか?(その1)ウクライナのNATO加入に反対していたヤヌコビッチ大統領を交代させる為2014年にアメリカは暴力的なクーデターを仕掛け大統領を追放した。これがウクライナ(アメリカ)/ロシア戦争の始まり
 当時は(2008年)ロシアもNATO会議に来ており、翌日プーチンはアメリカに対しウクライナのNATO加盟は絶対やめてくれ。それはロシアにとってのレッドラインだと言ったが、アメリカは聞く耳を持たなかった。
 これはアメリカにとっても根本的な問題ともなっている。
なぜなら、ネオコンが外交を仕切ってきた過去30年間、アメリカは他の国が反対しようが自分の考えだけで何でも押し通せるという傲慢な考えが基本にあるからだ。それは間違った考えであるし、常にアメリカが失敗を重ねてきた原因でもあるし、何兆ドルものカネを戦争に注ぎ込んできて何も達成されてきていない原因でもあるのだから。
だからプーチンの渾身の発言も、欧州首脳の忠告も一切聞く耳を持たなかった。これらのことを理解するには最初の方に述べた、イギリスの時代から続くロシア封じ込めに関する長期計画によるものだということを理解する必要がある。

 ウクライナ国民ですらNATO加盟には大多数が反対していた。NATO加入はウクライナにとり危険がすぐそこに迫ることだ。中立国としてバッファーゾーンのままが良い、という考えからだ。だからこそウクライナ国民はヤヌコビッチ大統領を選挙で当選させた。ヤヌコビッチ大統領はウクライナ国民同様ウクライナは中立でいると主張していたからだ。 
ところがそれを聞いたアメリカは、この男は何てことを言うのだ、ウクライナに選択肢はないのだよ、アメリカの言う通りにしろとして、ヤヌコビッチ大統領はアメリカのネオコンの敵になってしまった。
 この大統領には交代してもらう必要があるな、政敵を大統領に据えるか、政権に危機を作り出して辞任させるかなんらかの方法で、と。そして例によってアメリカは工作を開始した。2013年の終わり頃にはアメリカが焚き付けた火が燃え盛りウクライナの混乱は日増しに激しくなっていた。
 そして各地で暴動が扇動され、結局は2014年2月のクーデターにつながっていった。アメリカの上院議員がキエフに出向き暴動の群衆を煽るアジ演説をし、ヌーランド国務次官補もキエフに出向きクッキーを配る以上の役割を果たしていた。
つまりアメリカがウクライナの極右勢力と共謀して、選挙で選ばれたヤヌコビッチ大統領を追放する非常に暴力的なクーデターを仕掛けたのだ。2014年2月第3週のことだ。
 この時がウクライナ/ロシア戦争の始まりだ。2022年2月ではない。
 この時選挙で選ばれたヤヌコビッチ大統領に、暗殺の情報が警備陣からもたらされ彼はすぐさまロシアに逃避し一命を取り留めた。
 そして次の後継者が決まるや否や、あっという間にアメリカはその政権を承認した。秒速の速さだった。アメリカが関与していなければありえない速さだ。これはいつもCIAが手がける政権転覆のクーデターの時も同様だ。

 この時事情をすぐに認識したプーチン大統領はロシアの軍港があるクリミア確保に向け動き出した。
この軍港はクリミア戦争以来のもので、ロシアにとっての死活問題、かつNATOがターゲットにしていたものだからだ。クリミアですぐさま住民投票を実施した。結果は圧倒的にロシア編入だった。その動きはロシア系住民が多数のウクライナ東部にも広がった。クーデター政権ではなくロシアに付くと。
 ウクライナ/ロシア戦争が始まった2014年の翌年2015年にロシアはウクライナに対してこう言った。
 「我々はこの戦争は望まない。我々はウクライナを欲しいとも思わない。ロシアとの国境での紛争も望まない。我々はウクライナ東部のロシア系住民の言葉や文化や権利を尊重した上での平和を望んでいる。そして彼らが政治的な自治権を持てることを希望する。クーデター政権はロシア語を廃止しようとし、ロシア文化も否定しているが、それはロシアは認められない」。

 と言うわけで、ロシアとウクライナとの間で2014年にミンスク合意、2015年にミンスク合意2が締結された。ミンスク2は国連の安全保障理事会が裏書きした。そこで謳われているのはドンバス地域の住民に自治権を与えた上での平和と言うだけだ。
 プーチンはロシアの領土拡大やロシア帝国の復活を狙っているなどと言われるが、プーチンはこの合意書においてもなんらそのような要求を出していない。むしろ逆でこの地域の取得をロシアは望まない。単にこの地域の住民に自治権を与えて欲しいと言っているだけだ。
 それに対してのアメリカの態度はどうだったか?
 クーデター政権に対して、心配するな、自治権はやらなくて良い、あんな合意書は守る必要はない。我々があの合意を守らないがその責任をロシアのせいにすれば良い、と言うものだった。
 アメリカはいつだってそうだ。合意書を作っても守る気がない、いつも御破算にしてしまうことが繰り返されてきた。
 ドイツもフランスもこの合意の保証人になっていたが同様だった。2023年にメルケル前ドイツ首相がそのことをインタビューで聞かれた際、びっくりすることを言っていた。彼女曰く、「あのミンスク合意書は単にウクライナが強くなるまでの時間稼ぎのための騙しの契約だと思っていたからよ」と。
 ウクライナの首脳と会った際、彼もミンスク合意は守るつもりはないと言っていた。つまり外交努力は反故にされ、その間にアメリカから大量の武器弾薬、兵器が備蓄され、ウクライナは欧州最大の陸軍装備を擁する軍隊になった。
 それをロシアはずっと見ていた。一体何をしているのだと。ミンスク合意を守らないだけでなく膨大な陸軍装備をしているのだ、と。(その費用はアメリカが、つまり我々の税金で賄われていた)=続く=
(費府の飛行士)

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 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和六年(2024年)6月6日(木曜日)
      通巻第8280号  <前日発行>
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(読者の声2)冷戦、CIAが世界中で仕掛けたクーデター、COVID(今回のコロナ)の起源などに関する報道されてこなかった歴史
https://tuckercarlson.com/tucker-show-jeffrey-sachs

(その2から続く)
● 何故アメリカはウクライナのNATO加入を推進したのか?(その2)
プーチン大統領はロシア・アメリカ安全保障条約を具体的にバイデン政権に提案したが、検討もせず拒否された。
2021年にプーチン大統領はバイデン大統領との会談後、2021年12月15日にロシア・アメリカ安全保障条約を提案した。全てに同意できるものではなかったが十分検討に値する内容のものだった。その核心はNATOの不拡大だ。私はホワイトハウスのジェイク・サリバン安全保障担当補佐官に電話した。
 NATOの拡大はアメリカの安全保障に資するものではなく寧ろ安全を害するものだ。このまま突っ走ると第三次世界大戦に繋がりかねない、と伝えた。
 彼の反応は「心配しないで下さい、これは外交のたたき台であり、交渉の余地はあるのですから戦争になんかなりません」と言うものだった。
 ところが、アメリカの公式の見解として、NATOの問題は交渉の余地はない、それは加盟国、加盟候補国の間だけの問題であり、第三者が口を挟むことはできないと言うものだった。
これは2022年1月のアメリカの公式見解として示されたものだった。
 挑発もしていないのにと言うのは真っ赤な嘘だ。この30年間ずっと挑発の限りを尽くし、平和ではなく戦争をやってきた人達、アメリカは唯一の超大国だから好きなように何でもして良いと思っている人達、誰の意見も一切聞かない人達によって起こっているのがウクライナ/ロシア戦争だ。(実際にはウクライナとロシアの戦争ではなく、アメリカとロシアの戦争だ)
(カールソン):先日プーチン大統領とのインタビューの際、彼はクリントン大統領の最後の頃にロシアがNATOに加盟することを打診したが謝絶されたと言っていました。どうしてアメリカは謝絶したのでしょう?
 NATOはソ連に対するものとしてできたわけで、それにロシアが加入すればNATO側の勝利と捉えられなかったのはなぜですか?
(サックス):欧州の国々の考えは次のようなものだった。自分達が望んでいるのは集団的保障だが、他国の争いに自国が巻き込まれるのは御免だと言うもの。

その方策は三つ考えられる。
1 OSCE(Organization for Security Cooperation of Europe)欧州安全保障協力機構 西欧、中欧、東欧、ロシアが一体となって集団的安全保障に協力すると言うもので実はゴルバチョフが唱えていたもの。
2 NATOは旧ソ連に対抗して作られたものでソ連側のワルシャワ条約機構が解体されたのでNATOも解体すればいいじゃないかと言うもの。いいアイデアだと個人的には思うが、アメリカではバカかと言われる。
特にネオコンにとってNATOは絶対的なものになっている。最早、欧州を守るものでもなく、ましてやアメリカを守るものでもなくなっている。ネオコンによればこれが我々のやり方だ、自分達が自分達の好きなようにやる、それが我々のやり方だと随所に書かれた文書がある。これは安全保障の問題ではなく、欧州におけるアメリカの覇権の問題だとしている。<続く>
(費府の飛行士)

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 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和六年(2024年)6月7日(金曜日)
      通巻第8282号  
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(読者の声3)タッカー・カールソン vs ジェフリー・サックス
冷戦、CIAが世界中で仕掛けたクーデター、COVID(今回のコロナ)の起源などに関する報道されてこなかった歴史
 https://tuckercarlson.com/tucker-show-jeffrey-sachs
ノードストリームパイプラインを爆破されたのに何故ドイツはアメリカに抗議しないのだ、何故米軍の駐留を80年も許しているのだ?
(その3から続く)
(カールソン):どうしてドイツはアメリカや他の国の軍隊の駐留を80年間も許しているのですか?
(サックス):先日あなたがプーチンに素晴らしいインタビューをした時に、プーチンはあなたの質問に全て答えていたが1つだけ答えないことがあった。それはあなたがドイツはこれをどう見ているのでしょうか、と聞いたときだ。プーチンはそれはその質問の意味がわからない、と言った答えだったと思う。そうだ、こんな答え方があるんだ、と私はびっくりした。今のあなたの質問もその質問の意味がわからない。
(カールソン):それは虐殺や戦争贖罪の意識が関係していますか?
(サックス):いや、どちらも関係していないと思う。
40年以上欧州の、ドイツの政治家と接してきたが未だに本当のことはわからないが、自分の国に他国の軍隊が駐留していると言うことは、政治的にも多くの紐がついているのではないかと思う。政治的決断にも、政党の方針にもさまざまな影響を与えているだろうと言うことは想像できる。
 そう言う意味ではドイツは自由に自分の考えで政策を決めることはできなくなっているのではないか。
(カールソン):自分の家に銃を持った男が入ってきてあれこれ指図し始めたらその家の主は最早家の自由な権限者ではなくなるのと同じですかね?
(サックス):あなたの質問に戻れば、その答えはノードストリームガスパイプラインをアメリカが爆破したのにアメリカに対して何故我が国の経済を破滅させるようなことをするのだとドイツが文句を言わなかったことと同じではないかな。
 彼らはアメリカにあまりにも盲従しすぎているのでーーー。あまり理解しづらいことだと思うが、結論としてはあなたの言ったことのようなものだろう。
 ある欧州の首脳と会った時に聞いた話は衝撃的だった。秘密にする約束だったので具体的には話せないが、ワシントンに行って話をする時は中々真剣に取り合ってもらえないと嘆く話だった。私としては、しっかりして下さいよ、あなたは欧州の一国のリーダーでしょう。もう少し毅然としてもう一押しすれば真剣に話を’聞いてもらえますよ、と言いたかったがそれが実情のようだ。
 兎に角、アメリカはウクライナを破壊し続けており欧州でも多くの被害を与え続けてきた。膨大なカネを費やし、多くの人々の命を費やしてきた。ウクライナでも50万人が死んでいるが、ネオコンはウクライナ人が何人死のうがなんとも思わないようだ。
 挑発もしていないのにプーチンがウクライナを攻撃したと言われているのは本当か、という最初のあなたの質問に戻ればそんなのは真っ赤な嘘だ。まるで2022年2月24日が戦争の始まりのように思わせたい、思いたい、それ以前のことは無かったことにしたいのだろうが、2022年2月以前に30年間以上も長い長い歴史があるのだ。ウクライナ人が50万人も犬死しているのだ。
(カールソン)::その数字は実態に近いと思いますか?
(サックス):ほぼそのような数字だろう。私が捉えている数字ではそれが一番近い数字だと思う。
(カールソン):びっくりしたことがあります。私がワシントンでウクライナの戦争継続資金支援継続を主張している議員にウクライナでどの程度の死者が出たのか聞いたら全く知りませんでした。
(サックス):彼らはウクライナ人が何人死のうが構わないと考えているようだ。ミット・ロムニーなどはアメリカ人の死人が出ないから安上がりな戦争だとまで言っている。
(カールソン):ウクライナの為に支援している、ウクライナの民主主義のための戦争だと言いながらあまりに偽善的ではないですか?
(サックス):本当に彼らは何人死のうが構わないと考えているようだ。戦争に死人はつきものだよ、世界の覇権を握るためには付き物のことだよ、もう少し大人になりなさい、と言うのがネオコン連中の考え方だ。彼らは綺麗事を言うが民主主義もアメリカの価値観もアメリカの安全保障も何も関係ない。
 2001年以降30年間、7兆ドルものカネを注ぎ込み無謀な戦争を彼らは続けてきた。アメリカの利益につながっただろうか?
答えはノーだ。その間アメリカの債務は膨らむばかりで肝心のアメリカ自身の投資は殆どされてこなかった。アメリカの橋や道路などのインフラは老朽化したままだ。(続く)
(費府の飛行士)

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 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和六年(2024年)6月11日(火曜日)
      通巻第8286号  
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(読者の声1)カールソン vs サックス(その5)
(承前)
ウクライナがロシアに負け続けてきたことを政府もメディアも隠してきた。世界の国々はアメリカが何故NATOの拡大に必死になるのか理解できず、アメリカの戦争に巻き込まれたくない。ロシアと中国を組ませたことは最大の失策だった。

(カールソン):ウクライナのNATO加盟はロシアのプーチン大統領にとってはレッドラインであることは素人の私でも知っています。アメリカはまるでゼレンスキーを唆して戦争を始めたがっているように見えますが?

(サックス):今のところアメリカ政府の全ての高官、NATOの事務局長も、ウクライナはNATOに加盟すると言っている。だが、視聴者の方が理解すべきことは、ウクライナは決してNATOに加盟しないと言うことだ。何故ならそれはすぐさま核戦争を引き起こす引き金になることは皆わかっている。ロシアは決してそれを許さないからだ。
 ウクライナロシア戦争が続けば続く程ウクライナ人民の死亡者は増え続くと言うことを解らないといけない。しかも核戦争の危険はどんどん高まると言うことも。核戦争危機のことを話せば私の憤慨の度合いは高まるのだが、皆解らず屋の間抜けばかりだ。
 核戦争の脅しに怯むようじゃ舐められる、と言っている政権高官がいるが、馬鹿も休み休み言えと言いたくなる。もっと危機の心配をするべきだ。ロシアには6000発の核ミサイルがあり、我が国も6000発の核ミサイルがある。我が政権内部には気が狂ったような人間が複数いることを私は直接知っている。
 同盟国の首脳も同様だ。
 私はロシアの上級幹部と話したがロシアはアメリカとの対話、交渉(停戦)をしたがっているのだがアメリカが乗ってこないという。アメリカはウクライナが望まないことはやるつもりはないと、まるでこの戦いがウクライナとロシアの戦争のように見せかけているが、この戦争は今までの事実を振り返ればアメリカとロシアとの戦争だ。アメリカがウクライナで戦争をしているのだと言うことを理解しないといけない。我々はロシアとの対話が必要だ。バイデン/プーチン会談だ。私はバイデンにずっとプーチンと対話して下さいと言い続けているが彼はやらない。
(カールソン):どうしてなのですか?
(サックス):ごく最近まで彼らは我々のやり方はブラフを掛け、どっちが上か、どっちが力があるか、どっちが財力に優れているか、時に他人のカネでギャンブルし(国民や他国を巻き込み常に失敗し続けきたが)、それが自分達のやり方だと信じてきた。(今でも信じているかどうか解らないが)
 私は政権の高級幹部に対し、自分達の一方的なやり方にロシアが反発するとは誰も思わなかったのですか、ロシアの経済制裁にしろ他国が反対するとは思わなかったのですか、などと聞くが皆アメリカの一方的な言い分ばかりで他国のことは考えもしない、経済制裁も思ったような効き目がないようで机上の空論ばかりの幼稚な連中のように見える。
 どうしてそんなに幼稚な考えができたのだと言うのが次の疑問になるが。
 それについては私はベトナム戦争、シリアのアサド政権転覆の企て、リビアのカダフィ政権転覆、アフガニスタンで起こったこと、を思い出す。アメリカがやってきたことは全て失敗の積み重ねであり決して賢明なやり方ではなかった。

(カールソン):あなたは基本的には学問がご専門だが、政府の外交にも直接間接に長い間関与されてきたので外交に関与している多くの人をご存知だと思います。外交に関わっている人物の質が劇的に劣化しているのではありませんか? 
こう言っては何ですが、今はどちらにも賢明な政治家はいませんね。党派で分離され、狂気の沙汰をやっているように見えます。

(サックス):私もそう思う。先日ランド・ポール上院議員と話した。彼は現在唯一のまともな外交政策を考えている政治家だと思う。こんなに巨額を投じて大勢の国や人々をリスクに晒している戦争なんてすぐに中止すべきだと言っていた。ところが民主党議員は全員軍事費を増額して戦争継続を主張している。
 誰一人として停戦交渉を考えようともしていない。誰も真実を話さないしホワイトハウスから真実が出ないようにと必死だ。国会議員でさえ同様だ。そもそも政府の執行機関に対して真実を追求する機能すら果たしていない。政府が嘘を言ったらかつては国会議員は憤慨して追求していたが、今ではそんなことは全くない。党派党略に従うだけになっている。民主党議員が民主党の大統領にこんなアホなことはやめましょうと言う議員は一人もいない。
(カールソン):バイデン政権がついている小さくない嘘の一つはウクライナが勝ってロシアを2022年1月の状況に押し戻せると言うこと、もう一つはウクライナをNATOに加盟させると言うことです。これらは本当ですか?

(サックス):主要メディアの外にいる人、例えばあなたなどから見ればわかることだが、ホワイトハウスのカービー補佐官などは臆面もなしに嘘をつき続けている。
嘘をつくときの癖が出ているのにも気づいていないようだ。NYタイムズの記事など哀れな程嘘を書いている。まともな報道をするジャーナリストであれば皆ウクライナが連日悲惨な戦況にあること、死者が累増している事実がわかっている。
ロシアが空、陸、何の戦いでも優勢であることもわかっている。主要メディアはようやくトーンダウンしているが、主要メディアだけを見てきた人から
「どうして急にウクライナが劣勢に変化したのだろう」と聞かれた。
急な変化ではなく、ここ2年間ずっとロシアが優勢、ウクライナが劣勢という状況が続いてきたのだ。
だが、政府も、国会も、主要メディアも本当のことを伝えないので大方の国民は事実を誤解したままだ。

(カールソン):何だか北朝鮮のようですね。報道が完全に統制されていて国民は何ら事実を知らされないし嘘をつかれているとも思っていない、という点で。アメリカも同様ですかね?

(サックス):2022年3月にロシアに対する経済制裁を課した時(実際には2014年に戦争は始まっていたのだが)、アメリカの財務省の高官はこれでロシアをやっつけると豪語していた。私はそうはならないと思いますよ、インドや南米諸国など経済制裁に参加しない国がたくさんあると思いますよ、と彼に話した。で結局経済制裁に参加したのはアメリカ以外では西欧諸国とアジアの日、韓、豪、NZ等だった。
 その他の国々はそんな作り話には賛同できない、NATOのやり方には賛成できないそんな経済制裁には合意できないとして経済制裁には参加しなかった。
 そしてバイデン政権の高官たちが想定したような経済制裁効果は得られなかった。
 世界の国々はアメリカをどう見ているのか? アメリカは変な国だと思っている。どうしてNATOの拡大に必死になっているのだ? アメリカがやっている戦争に我々は巻き込まれたくないね、と言ったところだ。
面白いことにほとんどの国は反米ではない。戦争で頭に血が昇るのではなくて落ち着いて平和にやろうよ、アメリカの戦争に他国を巻き込まないでくれ、という意見が多い。
ただ米国と対峙したくないから刃向かわないでいるだけのことだ。ところがワシントンはそのことが全く分かっていない。ホワイトハウスにしろブリンケンにしろ他の高官たちも。

(カールソン):ブリンケンがこれらのことの推進力のように見えますが?
(サックス):私はそうは思わない。それは安全保障界隈での昔からの大きな深いプロジェクトによるのだと思う。少なくとも30年前からそうだ。
CIAも、安全保障評議会も、国防省も、軍事委員会も推進力になっていると思う。特定の個人が推進力となっているわけではなく、昔から長い間のプロジェクトでそうなっているから方向転換が容易ではない。
大統領といえども最終決定をしているわけではない。詳しくは知らないが。舵が固定されていて方向転換ができない船のような状況にあるということだ。

(カールソン):あなたは経済学者だからお聞きしたいことがあります。
ロシアに対する経済制裁を大局的に見れば、ロシアは資源大国であり我々はどちらかといえば金融と不動産にシフトした経済です。どちらが耐久性がありますか? どちらが現実的ですか?

(サックス):例えば石油が制裁で欧州に売れなければアジアに売れば良い訳だ。そんなことは誰でもわかることだ。船舶保険にしろ迂回の方法がいくらでもあり、ロシアが石油やガスを輸出してカネを得る方法はいくらでもある。
そんなこともあの人たちは分かっていなかったようだ。
 それにもっと重要な点をネオコンの連中は完全に忘れていた。ブレジンスキーはさまざまな戦略を策定した優れた戦略家だが極めて重要なことを強調していた。
 それは、決して、決して、どんなことがあってもロシアと中国を組ませてはならない、ということだった。しかも彼はそういうことは起こりそうもないことだがよくよく留意すべきことだとも書いていた。彼らはこの点でも間違いをしでかした。(続く)
(費府の飛行士)

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投稿者の素性ははっきりしないが、「費府の飛行士」というペンネームから類推すると、防衛省駐在●●もしくは軍事機器メーカー技術者、研究者ではないかと思われる。
書かれている情報、分析結果などから、知識、スキル的には歴史家の渡辺惣樹氏レベルにある。

上記と比較すると各紙ワシントン支局発の記事はお粗末。中でもワシントン駐在期間が長い産経のFは、、、
「費府の飛行士」からの情報を読むたびに思うことだが、海外支局員の仕事は、高校性程度学力があれば誰でもできる簡単な仕事と思うようになった。(本来はそうではないはずだが)






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