円安加速原因 投機目的のドル需要だった?

日銀が金利引き上げ、国債買い入れ減額を発表した。

政府の為替介入効果がないことを確認したうえでの追加措置とみられる。

しかし、円とドルの金利差が5%以上ある現状で、ドル円が動き出すとは思えない。
むしろ、FRBが金利を下げ始めて反応しそうな気がする。

直近で円安要因について、分析しておきたい。

とりあえず、とある雑誌記事から紹介させていただく。
この方の記事について私は懐疑的である。ドル需要についての説明がないからである。


▽▽▽ 引用開始 ▽▽▽

https://web-willmagazine.com/economy/BxNhk

円安の真の原因はこれだ!【石角完爾】

結論をまとめて言うと、日本円は対ドルのみならず世界の他の主要通貨に比べても、ここ5年間で一方的にその価値を減じており、その理由は、

①日本の国債の大量発行
②安全保障環境の悪化
③GDPの低下
④労働生産性の低下
⑤国際競争力の低下
⑥人口減少、高齢化

 に起因しているのである。

7つの緊急対策
 だから日本がいくら金利を上げたところで日本円は高くはならないのである。ましてや円買い介入は全く一時的なその場しのぎにしかならない。
 日本円を高くするためには、①国債の大量発行を止め、②安全保障環境を改善し、③労働生産性を上げ、④GDPを上げ、⑤人口を増やし、⑥国際競争力を高め、⑦国際収支/貿易収支を改善していく必要がある。
 この7つを可及的速やかに実施できなければ、日本円はどんどんと安くなっていく。

△△△ 引用終了 △△△


次に、原発全台停止による輸入金額増加額について確認しておきたい。
大体年間3兆円言われている。

▽▽▽ 引用開始 ▽▽▽

https://www.customs.go.jp/toukei/info/

令和6年5月の貿易総額(速報値)詳細な資料はこちら

輸出額  8兆2,766億円(前年同月比 13.5%)
輸入額  9兆4,979億円(前年同月比 9.5%)
差引額 ▲1兆2,213億円

原発停止「負担増3兆円」のリスク試算
https://www.mizuho-rt.co.jp/publication/mhri/opinion/eyes/pdf/eyes121205.pdf

火力発電依存度の上昇と家計・企業への影響について
https://www.bk.mufg.jp/report/ecorevi2011/review_0420111229.pdf

△△△ 引用終了 △△△


さて、原発全台停止以上のドル需要が別に存在する。
個人マネーによる米国株需要である。年間8兆円とされる。

▽▽▽ 引用開始 ▽▽▽

個人マネー、海外株に年8兆円 日本から「逃避」の気配 2022年6月6日 4:00
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB02BR70S2A600C2000000/

https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2021/5d3294b9efc8814c.html

日本の投資、過去10年間で2.6倍
対内直接投資残高の過半は、投資元上位5カ国で占められる。日本は、前年比156億ドル増の6,790億ドルで首位となった。次いで、カナダ(5,698億ドル)、ドイツ(5,643億ドル)、英国(4,808億ドル)、フランス(3,150億ドル)と続く(図参照)。上位5カ国では、日本とカナダの順位は変わらなかった。しかし、前年4位のドイツが英国を抜いて3位に浮上した。6位だったフランスも順位を1つ上げて5位に浮上した。

日本からの直接投資残高は、2010年の2,591憶ドルから、その後の10年間で約2.6倍の規模に拡大したことになる。2019年以降、米国にとって最大の投資元となっている(注1)。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240202/k10014344591000.html

新NISA 個人マネーが外国株に向かうのはなぜ?【経済コラム】
2024年2月4日 0時01分

「新NISA」が始まって1か月あまり。個人の投資マネーの行き先を調べてみると、その多くが、世界の株式を組み込んだ商品や、アメリカの株価指数に連動した商品に向かっているという。日本の主な株価指数がバブル期以来の高値水準をつける中、なぜ個人投資家は海外の金融商品を選ぶのか。(経済部記者 篠田彩)

上位を占める外国株商品
購入時に手数料のかからない「ノーロード」と呼ばれる投資信託(主に指数連動型)。

各証券会社などによると、新NISAで新たに投資する人の多くが、このノーロードの投資信託に資金を振り向けているという。

三菱UFJアセットマネジメントからのデータをもとに、このノーロード投資信託の先月の純流入金額を、先月26日時点で調べて推計したところ、上位2つは「全世界株式(オール・カントリー)」「米国株式(S&P500)」という名前がつく商品名で、この2つだけで、上位20位までの純流入金額のうち実に60%を占めていた。

△△△ 引用終了 △△△


さらに米国株、債券については、別のドル需要が存在する。
それはGRIP年金資産。注目すべきなのは、外国株式と債券のウエイトが計50%と比率を上げたことだ。

GRIPの運用資産(残高)が増加し、海外運用比率も増えている。


▽▽▽ 引用開始 ▽▽▽

https://www.gpif.go.jp/operation/the-latest-results.html

運用資産額の推移

2023年度末 246兆円
2022年度末 200兆円
2021年度末 197兆円
2020年度末 186兆円
2019年度末 151兆円
2018年度末 159兆円

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57468200R30C20A3EE9000/

GPIF、海外運用傾斜にリスク 外債比率25%に上げ
経済
2020年3月31日 21:22 (2020年4月1日 7:24更新)

利回りの高い資産の比率を高めると、為替変動による短期的な資産変動は大きくなり、海外リスクが高まる
公的年金の資産運用が海外シフトを強める。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が31日に発表した2020年度からの新たな資産構成は外国債券の割合を従来の15%から25%に引き上げ、外国株式を含む海外資産の割合を過去最大の50%とした。日本国債の投資収益が低迷する中、利回りの高い資産の比率を高める狙いだが、為替変動による短期的な資産変動は大きくなり、海外リスクが高まる。

「国債は安全な資産ではあるが、金利がマイナスであるものに投資していいのか、ずっと組織の中でも悩んでいた」。GPIFの高橋則広理事長は31日の記者会見で外国債に資金をシフトする理由をこう説明した。

GPIFは約160兆円を運用する世界最大規模の機関投資家だ。国民が納めた年金の積立金などを国内債、国内株、外国債、外国株の4資産に投じている。これらの構成比率を定めた「基本ポートフォリオ」を5年半ぶりに改定した。

▽▽▽ 引用開始 ▽▽▽   △△△ 引用終了 △△△


その他に意外なドル需要が存在する。
FX市場でのミセスワタナベの存在である。


日本のFX取引額が初めて月1000兆円を突破 「ミセス・ワタナベ」再増加の理由
https://www.moneypost.jp/963770

わが国の外国為替市場の動向と特徴
― 2022 年 BIS サーベイ(取引高調査)を踏まえた整理 ―
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2023/data/rev23j03.pdf


以上を総合すると、原発代替燃料コスト3兆円の他に、個人マネー年間8兆円、GRIP年間10兆円規模のドル需要?もあるようだが、決定的なのは、ミセスワタナベによるFX取引に伴うドル需要だったのではないか。確かに金利差はあるが、月1000兆円もの取引がある以上、為替介入の効果は限定的となる。

すなわち、昨今の行き過ぎた円安は、日米の金利差、アメリカ株上昇に着目した個人マネーが加速させた、ということなのである。



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