日銀(金融政策決定会合)改革の必要性について

政局的には総裁選の話題でもちきりだが、8月上旬に発生した、日銀総裁記者会見後の株価暴落に関して、思うところがあるので、ここしばらく日銀に関するテーマで出稿を準備している。

本題に入りたい。

財務省の「ワル」(岸宣仁)という本に、財務省の仕事の定義(業務の要件定義)に関する高橋洋一の見解が読める。


▽▽▽ 引用開始 ▽▽▽

高橋洋一の見解

法学部の人は、すでにある制度を所与のものとして考える傾向が強い。制度を変えると知識の根幹が変わってしまうので、その後の対応が難しくなる不安からどうしても前例踏襲になりがちです。その点、われわれ理系の人間は、論理から結論を導き出し、最適な状態に変更を加える過程がまったく気にならない。予算や税という数字を扱うのが主な仕事の財務省が、法学士の牙城となっているのは不思議としか思えません」
「一言でいえば、理系の本質は真理の探究にあるんです。真理がどこにあるか、自分の頭で考えて判断する訓練を受けています。その際、真理に対して権威はまるで関係ありません。定義が正しければ誰も文句は言えないし、真理を証明できるかどうか、それだけがすべてであって無謬性は科学ではないんです」

△△△ 引用終了 △△△


個人的なことになるが、20歳台、ヒラ社員の時代から、上記に近い発想で仕事の見直し(業務の要件定義)を欠かさず行ってきた。与えられた仕事すべてについて、自分の部署だけでなく社内マニュアル、指揮命令等に係る事項の見直しも進めた。

高橋洋一みたいな感覚で、関係者誰が見ても論理的に正しい、妥当な落としどころを探し求め、要件定義の見直しを進めたことになる。
比較表の作成、見直し事由等の文章化作業は日常茶飯事。
当然、反対する人が出てくる。前任者、前々任者たちからは、新人類扱いされた時代が続いた。部長までもが、、、

そういう経験をしているので、高橋洋一の上記の見解は素直に理解できる。

高橋洋一が配属され仕事上経験した財務省でもそうなら、先日の金利引上げ表明後の円高・株安ショックから、日銀においても業務要件定義的に、ほとんど無定義、あるいは、とんでもない意思決定実態となっている気がしている。


政策決定会合後の記者会見後の発言により、株式の時価総額100兆円、ドル円相場で15円前後それぞれ変動することが妥当な金融政策なのだろうか。
時価総額で100兆円もの価値が棄損する結果から、今回の利上げ表明(特に継続的な追加利上げ発言)は、明らかに大失態である。
国家の一大事に係る事項を決めるのに際し、日銀内で「事務手続き的に不完全な点」がきっと存在するのではないか。それを特定するのが理科系的発想での「真理の追究」と考える。

日銀については、以前にも「不可解な(唐突な)利上げ決定」があったので、利上げ(あるいは利下げ)を決定するのに際して、「関係者誰が見ても論理的に正しく、妥当な落としどころであると証明可能な状態での決裁書類が存在していない」か、決裁書類が存在していても「決裁文書の内容から、雰囲気で決裁したとしか受け取れない決裁文書」である可能性が高い気がする。

このような視点から、日銀総裁記者会見直後に勃発した、急激な円高、株価暴落の再発防止対策の位置づけで、日銀(金融政策決定会合)改革検討を行う必要があると考えるに至った。

次稿では、政策決定会合会合改革(私案)の詳細について述べさせていただく。

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