政党の運営と選挙の運営は一体のものなのか?

本稿は、設立後間もない、保守系新党の運営に関する私見である。

一応、背景事情を説明したい。
ある保守系新党が、注目される選挙でしかるべき候補者を見出し公認し出馬させた。
ところが、この保守系新党代表と候補者との間で何らかのトラブルが発生、事情を知る候補者の知人である保守系言論人が、この保守系新党がやっている政党としての運営(規約上の記述)は独裁色が強いとの見解を示した。
候補者は政党の運営、選挙の運営それぞれに不満がある、、、

本題に入りたい。

政治活動というのは、何をやるにしても金がかかる。

従って、新党を設立するには誰かが資金を拠出する必要がある。

ある政党の場合、
①政党樹立時に、金を出した人が存在する(政党役員)
②選挙に際し、追加で、金を出した人が存在する(政党、立候補者)

①と②は、政党において同じ立場なのか?

絶対に、同じ立場であるべきなのか?

民間企業の場合はどうなるか。
フランチャイズシステムを採用した企業の場合はどうか。

設立時の出資者が存在する。当然、設立時の出資者が代表(社長)になる。
フランチャイズ制を採用する場合は、契約上、企業と代理店で代理店負担額等、企業と代理店の間で責任分担を明確化する。

ここで、「選挙」を店の出店の取り合いと考えたい。

企業設立時に応分の負担(出資)しない人が、企業経営について、口を出せる立場であるべきなのか?

ある政党の場合、立候補者に対し、選挙資金とは別の負担金(企業における)出資金を要求し現実に立候補者が支払ったのなら、政党の運営(=企業の場合の役員会議)に参加できる権利を有すると考えることができる。

しかし、立候補者にそこまで金銭負担できないことを見越し、選挙費用の負担だけお願いして、出馬させる場合はどうか?

仮に、(選挙費用しか負担しなかった)立候補者が、都道府県知事や国会議員になったとして、知事だから国会議員だからという理由で、その政党を思い通り動かせるとする主張は妥当なのか。

言い換えると、結党時に出資しなかった人(結党後の場合は出資金に相当する金額を負担しなかった人)に、政党運営権はあるのか?

確かに、ある保守系言論人が指摘するとおり、ある新党の規約は、一読すると独裁色が強いように読める。

しかし、最初に出資した企業経営者の視点に立つと、「(設立時等)出資しなかった人(候補者、党員)が、民主主義で政治は成り立っている、政党が社会的に影響力あるとする事由等を根拠に、政党を支配し、乗っ取っる権利がある」と主張している気がする。

本稿は、「政党結党後に、下手をすれば、結党時に資金を出さない人に政党が乗っ取られるかもしれないことが想定される場合の、政党結党時の規約」に関する問題提起である。

別に、ある新党の代表を政治家として評価するつもりはない。

ある保守系言論人の動画での主張(政党運営権は規約上、党員すべて平等で多数決で決定されるべきだという視点)に対する、結党段階での出資金負担と役職ポストの配分、選挙費用の分担(政党、立候補者)、一部運営費用の負担(主に党員)についての問題提起である。

出資し、政党を設立した政党代表者の立場に立つと、出資者である関係で、乗っ取られることだけは避けたいと考えるのが自然である。

乗っ取られたくないから、規約上、出資者が政党代表でいたいと考えて何か不都合があるのか。それを独裁と決めつけることに、論理的に無理があると考えるのである。

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