●●特権 どう実態把握・どう公式に認知させるか?
個人的な経験談となるが、いわゆるノウハウ、技術という類のものは、文章化された次元で整理できて初めて確立すると私は思ってきた。私は、そういうやり方で仕事をしてきた。
いくら口でもっともらしく言おうが、ペーパーで示し、ペーパーに語らせなくては話にならない。政治を動かす、国会を動かすには、核心を突いたペーパーがどうしても必要となるのだ。
官界においては、業界実態調査という名目で、対象事項を定義、分類、数値化、統計処理したうえで分析する手法が広く使われている。民間企業は、中央省庁の求めに応じ、調査票みたいな実態調査に回答する立場である。
役所仕事を馬鹿にする風潮がある中で、中央省庁の官僚が、この種の仕事のやり方、この種のセンスに秀でていることは、あまり知られていない。
さて、30年くらい前になるが、中央省庁の官僚が手書きで書いた、アンケート調査のような実態調査目的みたいな仕事を専門に担当したことがある。その類の仕事がみんな自分のところに廻ってきたからである。
目的は、法規制強化のための裏付け資料とするためだった。この時代、法規制は、なんでもかんでも杓子定規にがんじがらめにするのではなく、この範囲までは規制するが範囲外のものは規制対象外と線引きする傾向があり、対象事項の定義、分類、数値化、統計処理する前提で調査票様式が設計された。
その種の、業界全体に対する、アンケート調査と称する実態調査を、業界団体窓口を通じて中央官庁は繰り返し行った。
この中央省庁の官僚が得意とする手法…